2026年8月23日日曜日

最後のMK-705 39,800円で瞬殺!

 パドルは「名機」より「相性」だと思う話

「MK-705/Final Edition50」は、値段で語る商品ではない。あれは昭和の日本のものづくりを50台分だけ延命させた記録であって、実用パドルの新製品ではないのだ。だから39,800円という数字に驚いた人も、発表から二日で完売したことに驚いた人も、たぶん同じところで驚いている。そして――ここが本題なのだが――私自身は、たとえ買えたとしても、たぶん使わない。パドルは名機かどうかより、指との相性で決まるからである。




「MK-705/Final Edition50」


CQオーム(岐阜)が、ハイモンド・エレクトロ社(静岡・御前崎)がかつて発売していた双レバー式パドル「MK-705」を50台限定で復活生産した。オリジナル商品「MK-705/Final Edition50」として、9月発売予定・予約受付というアナウンスだった。ハムフェア2026の同社ブース)で予約分の受け取りも可能、という段取りである。

そして8月22日の朝、hamlife.jpに追記が入った。完売。ハムフェア会場では試作品の展示のみになるという。私が記事に気づいた時点で、すでに勝負はついていた。Hi.

ポイントは3つある

1. 39,800円は「高い」のか ― 部品8点を新造した50台限定

まず値段の話をしておく。税込39,800円。パドルとして安くはない。だが内訳を聞くと、印象がかなり変わる。

MK-705は、あの小さな見た目で約100点の部品から成っている。レバー、支点、バネ、スペーサー、調整機構――細かく分けることで打鍵感と耐久性、そして「何十年後でも直せる」という保守性を確保していた設計だ。人件費より材料費・金型費が重かった時代の、職人が組んで調整する前提のものづくりである。

ところがその純正部品の在庫が尽き、8種類が欠品、しかも金型まで失われていた。普通ならここで「終了」である。CQオームはその8点を新造することを決めた。50台分のためだけに図面を起こし、加工方法を検討し、試作を繰り返して、昭和から眠っていた純正部品と組み合わせて50台を組み上げた。ベースは天然大理石、透明カバー付き、No.01/50~No.50/50のナンバー入り。

中学生に説明するならこう言う。学校の廃番になった上履きを、50人分だけ作り直すようなものだ。金型を新しく作るお金は1000人分作るときと変わらない。それを50人で割るのだから、一足あたりは当然高くなる。それでも作ったのは、儲かるからではなく、残したかったからである。記事にも「採算度外視の覚悟」とあった。そう考えると39,800円は、むしろ安いほうに振ってあると私は思う。

項目内容
価格39,800円(税込)
台数50台限定(No.01/50~No.50/50)
仕様天然大理石台・双レバー式・透明カバー付き
寸法約100(L)×90(W)×58(H)mm
重量約650g
状況9月発売予定 → 8月22日時点で完売

2. 二日で完売 ― 「使う道具」から「残す文化」へ

20日に記事が出て、22日の朝には完売である。50台という数字が小さいのは確かだが、それにしても速い。

これは単純な争奪戦というより、CWをやる人間の中に「今買わないと、この世からMK-705が本当に終わる」という感覚が共有されていた、ということだと思う。無線機なら「次のモデル」がある。だがハイモンドのMK-705に次はない。今回の50台が最終ロットだと明言されている以上、これは製品の販売というより、閉店セールというより閉館式に近い

個人的にちょっと感慨深いのは、こういう「効率の悪い作り方」が価値として評価される時代になった、という点だ。部品点数を削り、一体成形で作るのが正義とされてきた数十年を経て、100点の部品を職人が組む製品に人が並ぶ。長く電子の世界にいた身としては、悪い気はしない。

3. それでも私は買わない ― パドルは「名機」ではなく「相性」

ここからは完全に私の話である。

ハイモンドのパドル/マニピュレーターでは、私はMK-706を持っていた。作りは文句なくいい。日本製らしい丁寧さがある。だが、スクイズ操作については、私の指にはベンチャー(Bencher)やベガリ(Begali)のほうが合っていた。これは優劣ではなく、レバーの支点位置、動き出しの重さ、跳ね返りの速さといったものが、自分の指の癖と合うか合わないかの問題だ。

たとえるならボールペンである。1本500円の書きやすいペンと、1本5万円の万年筆。どちらが「いいペン」かと聞かれれば万年筆だが、テストで速く書けるのはどっちか、という話とは別なのだ。パドルもまったく同じで、コンテストで1日中叩き続けたときに疲れないのは、値段が高いほうとは限らない。

そして私が個人的にいちばん好きなハイモンドは、実は双レバーではない。MK-702である。単レバー複式電鍵、いわゆるシングルレバーパドルだ。あのシンプルさ、余計なことを考えずに済む感じが好きだ。双レバーのスクイズは確かに速いが、私の場合、指が勝手に余計な符号を打ってしまうことがある。シングルなら、打った分しか出ない。当局の運用スタイルには、そのくらいが合っている。

そしてMK-702の最大の特徴は、なんといっても大型の大理石系重量ベースである。あれは効く。パドルというのは、打鍵の力が本体を動かしてしまうと途端に不安定になる道具で、逆に言えば「動かない」ことがそのまま打ちやすさになる。まな板と同じだ。薄いプラスチックのまな板の上でネギを刻むと台ごと滑るが、分厚い木のまな板なら包丁だけに集中できる。MK-702のあの重い石の台は、まさにその「動かないまな板」なのだ。

比較軸双レバー(MK-705など)シングルレバー(MK-702など)
メリットスクイズで符号を高速に組み立てられる/コンテスト向き/指の移動が少ない構造が単純で誤打鍵が少ない/調整箇所が少なく扱いやすい/打った分だけ出る安心感
デメリットスクイズの癖が合わないと余計な符号が出る/調整がシビア/慣れるまで時間がかかる連続符号は双レバーほど速くない/スクイズの恩恵は受けられない


「MK-702 単レバー複式電鍵/シングルレバーパドル」

念のため書いておくと、これは「MK-705が良くない」という話ではまったくない。むしろ逆で、あれだけの評価と愛用者を長年集めてきた名機である。ただ、名機だからといって自分の指に合うとは限らない、というだけの話だ。パドル選びで悩んでいる方には、
可能ならハムフェアなどの会場で実際に触ってから決めることを強くおすすめする。


最後に

  • 発表から二日で完売。MK-705はもう「買える道具」ではなく「残された記録」になった
  • それでもパドルは相性がすべて。私はMK-706を持っていたが、スクイズはベンチャーやベガリのほうが手に合ったし、好きなのは大型大理石ベースの単レバー複式電鍵、MK-702である (もっと好きなパドルもあるんだよ、実は....よう知らんけど)

手に入れた50名の方、おめでとうございます。No.入りの最後のMK-705で打つCQは、きっといい音がすると思う。私はといえば、相変わらず自分の指に合ったパドルで、今日も7MHzを覗くつもりだ。

73 de JI1ALP

参考:hamlife.jp「<最後にして最高の50台!>CQオーム、ハイモンドのモールス通信用パドルを復活させ『MK-705/Final Edition50』として限定発売」(2026年8月20日/8月22日追記)

大腸がん 〜増えている理由と予防〜

大腸がんは今や日本人にとって非常に身近な病気であり、年間15万人以上が新たに診断されている。その背景には「高齢化」だけでなく、食生活の変化や運動不足といった生活習慣が大きく関わっている。

予防のカギは、
①野菜をしっかり摂る、
②赤身肉・加工肉を摂りすぎない、
③適度に体を動かす、
④定期的にがん検診を受けること。
今日からの小さな積み重ねで、リスクはぐっと下げられる。

ポイント①:大腸がんは、実はとても身近な病気

2023年、日本で新たに大腸がん(結腸がん・直腸がんの合計)と診断された人は、年間約15万4,000人(男性約8万5,000人、女性約6万9,000人)にのぼる(国立がん研究センター「がん統計」)。

これは1日あたりに換算すると、400人以上が毎日新たに大腸がんと診断されている計算になる。学校のクラス(1クラス30〜40人)で例えるなら、毎日どこかの町で10クラス分以上の人が新しく診断されているようなイメージだ。

がんの罹患率(かかりやすさ)は男女とも第2位、がんによる死亡率で見ると男性は第2位、女性は第1位という、女性にとって特に注意が必要ながんでもある。

ポイント②:なぜ大腸がんは増えているのか

大腸がんは年齢とともに増えるがんなので、高齢化が進んだこと自体も患者数増加の一因である。ただし、年齢構成の違いを取り除いて比較する「年齢調整罹患率」で見ても、1985年と比べて現在の方が高くなっており、高齢化だけでは説明できない要因があることが分かっている。

大きな要因とされているのが、食生活と生活習慣の変化だ。

  • 脂肪の多い食事や、肉を中心とした食事の機会が増えた(特にソーセージ・ハム・ベーコンなどの加工肉や赤身肉の摂取は、大腸がんとの関連が指摘されている)
  • 仕事や生活が便利になり、日常的に体を動かす機会が減った(運動不足・肥満の増加)
  • 野菜や果物、発酵食品の摂取量が減り、食物繊維の摂取量が落ちている

実際、1日あたりの食物繊維摂取量は、約20年前は男性19.2g・女性17.6gだったのに対し、2023年では男性15.0g・女性13.6gまで減少しており、全体で約20〜25%も少なくなっている。

食物繊維は「便通をよくするもの」というイメージが強いが、それだけではない。食物繊維は小腸では消化されずに大腸まで届き、そこにいる腸内細菌のエサになる。中学校の理科で習う「分解者」のように、腸内細菌が食物繊維を分解して腸内環境を整えてくれるのだ。逆に食物繊維が不足すると、善玉菌が減って悪玉菌が増えやすくなり、腸内で炎症が起きやすくなることで、大腸がんのリスクが高まると考えられている。

たとえるなら、食物繊維は腸の中の「お掃除係であり、良い菌のごはん」でもあるということ。掃除もごはんも足りない部屋(=腸)は、荒れやすくなってしまう、というイメージだ。

ポイント③:今日からできる、大腸がんの予防

1. 野菜を積極的に摂る

厚生労働省が推奨する野菜摂取の目標は、1日350g以上。一度に摂る必要はなく、朝・昼・晩の食事に少しずつ取り入れて、1日の合計で目指すのがポイントだ。

食物繊維が比較的多く含まれる野菜の例は以下の通りだ。

野菜 食物繊維の目安(100gあたり)
ごぼう 約5.7g
ブロッコリー やや多め
さつまいも やや多め
かぼちゃ やや多め
キャベツ・ほうれん草 日常的に取り入れやすい

秋にかけては、ごぼう・さつまいも・かぼちゃ・にんじん・大根など食物繊維が豊富な野菜が旬を迎える。旬の野菜は味がよいだけでなく栄養価も高く、手に入りやすいというメリットもある。

2. 赤身肉・加工肉の摂取を控えめに

赤身肉は1週間あたり500gを超えないことが一つの目安とされている。特にハム・ソーセージ・ベーコンなどの加工肉は、摂取を控えめにすることが勧められている。とはいえ肉を完全に断つ必要はなく、魚や豆類も取り入れながらバランスよく食べることが大切だ。

3. 適度に体を動かす

運動習慣は大腸がんのリスクを下げるだけでなく、腸の動きを活発にして便通の改善にもつながる。激しい運動でなくても、ウォーキングなど日常生活の中で無理なく続けられるものから始めれば十分だ。

4. 定期的にがん検診を受ける

大腸がんは、早期に発見できれば治療できる可能性が高いがんだ。だからこそ、症状がなくても定期的な検診で早期発見することが重要になる。

まとめ

大腸がんは決して他人事ではなく、生活習慣を見直すことで予防につなげられる病気だ。まずは今日の食事に野菜料理をもう1品増やすところから、無理なく始めてみてはどうだろうか。

健康管理士一般指導員(
健康管理能力検定1級) JI1ALP 深井


※本記事は、日本成人病予防協会の「大腸がん」の解説記事および、統計数値は国立がん研究センター「がん統計」の公表データを確認のうえ掲載している。

参考・出典
国立がん研究センター がん情報サービス「大腸:がん統計」https://ganjoho.jp/reg_stat/statistics/stat/cancer/67_colorectal.html
日本生活習慣病予防協会「がんの部位別罹患率では、男女とも第2位が大腸がん」https://seikatsusyukanbyo.com/statistics/2024/010805.php

2026年8月22日土曜日

World Radio League ---クラウド時代のログブック

World Radio League(WRL)というサービスについてまとめておく。

「移動先で、スマホだけでログが完結したらどんなに楽か」

ノートPCを開いて、Turbo HAMLOGやCTESTWINを立ち上げて、帰宅してからデスクトップPCでハムログに読ませる。この一連の儀式が、移動運用先ではやたらと重い。そんなことを考えていたところに海外のサイトを眺めていて目に入ったのが、World Radio League(WRL)というサービスだ。当局はまだ本格運用していないが、調べてみたら思いのほか面白かったので、ここにまとめておく。










World Radio League のTOP画面










World Radio League のTOP画面 を Google Chrome で
日本語に翻訳した画面


結論

国内のQSL運用が中心ならTurbo HAMLOG、移動運用とデータの持ち歩きが中心ならWRL。どちらが優れているという話ではなく、土俵が違う。現実的な答えは併用で、スマホのWRLで現地入力 → ADIFで書き出し → ハムログへ取り込みという流れが一番ムダがないと考えている。
※Turbo HAMLOG は直接ADIFを取り込めないので、変換ソフトが必要。

World Radio League とは何者か

米国のライセンス学習サイト Ham Radio Prep と同じ会社が運営する、Webベースのログブックサービスである。2023年8月に「ソフトのセットアップなしで、初心者が最初のQSOを記録できる場所」として始まり、そこからPOTA対応、ライブスコアリング付きのコンテスト機能へと広がってきた。2026年のWRTC(世界選手権)では公式ライブスコアボードも担当している。

アカウントは無料。Webブラウザ、iOS、Android、デスクトップアプリが用意されている。

特長その1 ― 端末をまたいで自動で同期する

WRLの本質はここに尽きる。スマホで入力したQSOが、そのままWeb側のログブックに反映される。しかも完全にオフラインで動く。山の中でも公園でも、電波が届かない場所でアクティベーションを最初から最後まで記録して、圏内に戻った瞬間にサーバへ上がる。

紙のノートではなく、Googleドキュメントに書いているようなものだと思えばいい。どの端末で開いても同じものが見える。ログのバックアップを意識しなくていいというのは、思っている以上に精神衛生に良い。




スマホ版(iPhone)の World Radio League 

特長その2 ― POTAとコンテストの作り込みが実戦的

パークリファレンスの入力、POTAネットワークへのオートスポット、ロガーからの再スポット。ADIFの入出力。そしてライブスコアリング付きのコンテスト機能。

細かいところでは、同一バンド内の周波数変更なら末尾だけ打てばいい。14.256MHzに移りたければ「.256」と入力してDone。片手でスマホを持ったまま操作することを、ちゃんと想定して作られている。この手の配慮がある道具は、たいてい作者が実際に運用している。









POTAのMap 他にも IOTA  SOTA などの画面あり

特長その3 ― ログが「見せられる」

他局の最新QSOがリアルタイムで流れるフィード、世界地図表示、モード別のリーダーボード。用途ごとに複数のログブック(自宅・クラブ局・POTA・SOTA)を持てて、QSOごとに電子QSLカードが自動生成される。

ログがSNSのタイムラインになった、という感じだ。「記録する」道具から「見せる・競う」道具へと軸足を移している。この発想は、日本のログソフトにはあまりない。








「Map View」QSOした直近50局の位置をMapで表示させた画像

Turbo HAMLOG との比較

観点Turbo HAMLOGWorld Radio League
動作環境 Windows専用(7/8/10/11)。ローカル完結で軽い
× Mac・スマホ不可。PCの前に座る必要がある
Web+iOS/Android+デスクトップ。オフライン入力+自動同期
× ネット前提の設計。サービス終了リスクは常にある
日本向け機能 ユーザーリストGet's、免許状Get's、JCC/JCG対応、JARL非会員あてQSL印刷の抑制、QRコード印刷
× 海外アワード管理は弱め
世界地図・グローバルな集計
× JCC/JCG、JARL会員照会、QSL転送の概念なし。UIは英語のみ
QSLカード 紙QSLの印刷が圧倒的に強い。テンプレートの自由度が高い
× 設定が独特で、最初はとっつきにくい
QSOごとに電子QSLカードを自動生成
× JARL転送用の紙印刷は不得手
移動運用・POTA 別ソフトか手入力が必要
× 現地でPCを開く前提
パーク番号入力、オートスポット、再スポットまでアプリ内で完結
× SOTAやJAFF系の作り込みは発展途上
コンテスト × 本格運用にはCTESTWINやzLogが別途必要 ライブスコアリング付き。WRTC2026の公式スコアボードも担当
× 国内コンテストのルールには非対応
継続性・情報量 2026年1月にVer5.47cが出るなど更新が続く。日本語の解説書も掲示板も豊富
× ソースコードは非公開。作者個人に依存する構造
開発が活発で、UIが現代的
× 米国のスタートアップ運営。日本語の情報がほぼない
費用 フリーソフト 無料アカウントで主要機能が使える
押さえどころ
① 土俵が違う。ハムログは「業務日誌+QSL製造機」、WRLは「持ち歩けるログ+見せるSNS」。カーナビとスマホの地図アプリの関係に近い。
② 日本のQSLビューロー文化はハムログの独壇場。JARL会員かどうかを判定して印刷を出し分ける、そんな機能が海外製に載ることはまずない。
③ WRLの本命はスマホ完結。自宅シャックでリグ制御と一緒に回すなら、出番は少ない。

当局ならどう使うか

正直に言えば、メインログをWRLに移すつもりはない。国内交信のQSLをどう捌くかという一点だけでも、ハムログを手放す理由がない。hQSLの利用率は体感でも確実に増えていて、そこはハムログの生態系そのものだ。

ただし、移動運用の一次入力としては十分に試す価値がある。アンテナを立てて、スマホでログを取り、帰宅したらADIFで吸い上げる。PCを持ち出さずに済むなら、荷物がリュックひとつ軽くなる。これはジジイ(失礼!OM)の身体には無視できない差だ。

まずは自宅で数千局ぶん入力して、ADIFの往復でデータが壊れないかを確認するところから始めたい。ログの移行というのは、コールサインの大文字小文字やモード名の表記ゆれで案外あっさり事故る。慎重にやる。

試してみたら、また報告する。

World Radio League

73 de JI1ALP

2026年8月20日木曜日

ハイモンド HK-1Z —「本当に電流を切る」電鍵

古いハイモンドの電鍵、HK-1Z を入手した。大理石の台に黒いベース、そして飴色に光る真鍮の銘板。机に置いた瞬間、部屋の空気が少し古くなったような気がした。










【ハイモンド HK-1Zの全景】

使い捨てライターと並べると、この大きさ。ずっしり重い。


この電鍵は「高級な置物」ではなく、明確な設計思想を持った実用機である。

  1. HK-1Z は φ6mm の銀接点を持つ、本当に大きな電流を切るための電鍵である。
  2. ハイモンドという会社の歴史は、創業者個人の経歴と法人の設立年が混ざって語られてきた。
  3. 台座の下部ベースの材質が、個体の年代を推定する手掛かりになる。

1. そもそも「ハイモンド」とは何者なのか

ハイモンドの創業者は Takaitsu Takatsuka(高塚)氏とされる。漢字表記は資料によって揺れがあるので、ここでは断定しないでおく。

経歴が実に濃い。1911年生まれ。1928年、まだ十代で海上無線の世界に入り、1929年に二級、1931年に一級の無線通信士免許を取得している。1932年には海軍に通信員として入り、1946年までその任にあった。戦後も無線・電子の道を歩み続けた、生粋の通信屋である。

そして社名。HI-MOUND という響きは洒落ていて、

  • 高 = High(Hi)
  • 塚 = Mound

つまり「高塚」を英訳したブランド名だと伝えられている。自分の名前を英語に直訳してブランドにする——なんとも良い時代の感覚だと思う。

2. 創業年が資料によって違う、という問題

調べていて最初に引っかかったのがここだった。 Hi-Mound は1946年創業としている。一方、海外の電鍵史資料では 1953年に電通精機株式会社(Dentsu-Seiki K.K.)を設立、1964年に経営難で活動停止、1968年に Hi-Mound Electro Co. を設立という、まったく別の年号が並んでいる。

どちらかが誤り、と切って捨てるのは簡単だが、高塚氏の経歴と並べてみると、これは食い違いではなく「何を数えているかの違い」だと考えた方がすっきりする。

何が起きたか
1946年 高塚氏が海軍を離れ、民間の通信・電子の仕事に戻った年。Radiomuseum の「創業1946年」はここを起点に取っている可能性が高い。=人物史の起点
1953年 東京で電通精機株式会社を設立。SWALLOW ブランドの電鍵はここから生まれた。=電鍵製造のルーツ
1964年 電通精機が経営難で活動を停止。
1968年 Hi-Mound Electro Co. を設立。=法人としてのハイモンドの起点

大まかな系譜は、

高塚無線 → 電通精機/SWALLOW → HI-MOUND ELECTRO

と見ると、非常に分かりやすい。「創業年はどれが正しいのか」と悩むより、人物の歩みと会社の器を分けて眺める方が、この会社の輪郭はよく見えてくる。

なお高塚氏は2003年2月28日、92歳で亡くなり、息子の Gouzo Takatsuka 氏が後を継いでいる。創業者は去っても、その姓を英訳したブランドは今も残っている。当局の机の上にも、こうして。

3. HK-1Z は「本当に電流を切る」電鍵である
















【HK-1Z の銘板】 
TELEGRAPH KEY / TYPE HK-1Z / HIMOUND ELECTRO CO.


一見すると単なる高級大理石電鍵なのだが、実はハイモンドの古い設計思想をかなり色濃く残している。

CQ出版社の『モールス・キー コレクション』では、HK-1Z について 銀接点 φ6mm という、かなり大きな接点を持つことが確認できる。さらに前部上側の接点は取り外し・調整が可能な構造。大型接点なので大電流のキーイングが可能で、発光信号用にも使用可能だったとされる。

接点の大きさは「我慢できる電流の量」

接点というのは、要するに金属どうしがぶつかって電気を通す場所である。そしてその大きさは、そのまま「どれだけの電流に耐えられるか」に直結する。

豆電球を点けるスイッチと、部屋の壁にある照明スイッチを思い浮かべてほしい。同じ「スイッチ」でも、中身の金属の厚みはまるで違う。φ6mm という銀接点は、電鍵としては明らかに壁スイッチ側の発想なのだ。

「発光信号用にも使えた」というのも、同じ理由で腑に落ちる。ランプを直接点滅させるには、それなりの電流を通し、そして切らなければならないからだ。

「KEY端子をON/OFFするだけ」ではない時代

現代の電鍵は、トランシーバーの KEY 端子を短絡するだけの、いわば「信号のスイッチ」である。流れる電流はごくわずかで、接点はほとんど摩耗しない。

だが真空管送信機を直接キーイングしていた時代には、接点そのものに相応の電気的能力が要求された。押した瞬間に本当に電流が流れ、離した瞬間に本当に切れる。HK-1Z は「本当に電流を切る電鍵」なのである。φ6mm という巨大な銀接点は、その時代の名残と考えると非常に納得できる。

4. 台座を見れば、年代が推定できる

















【HK-1Z の台座構造】 
天然大理石の板を、黒い下部ベースが受け止める二層構造。


台座は天然大理石+黒色下部ベースという堂々たる構成。この二層構造がまた良くて、白い石と黒い縁のコントラストだけで、机の上の格が一段上がる。

そして面白いのが、製造時期によって下部ベースの材質が異なるという点だ。CQ出版資料によれば、次のような違いが確認されている。

時期 下部ベース
前期 黒色モールド台
後期 黒色ABS樹脂台

つまり中古市場で HK-1Z を見比べる場合、「大理石の下が何でできているか」が、年代を推定する一つの手掛かりになる。これはコレクター的にはかなり重要なポイントだと思う。

当局の個体はどうか。
側面の型の合わせ目、台座を叩いたときの音、質感などから黒色ABS樹脂台の後期型と判断した。

5. おわりに

HK-1Z を手に入れて分かったのは、この電鍵が「装飾のために重いのではなく、仕事のために重かった」ということだ。大理石は打鍵の反力を受け止めるため、φ6mm の銀接点は本物の電流を切るため。どちらも、飾りではない。

電鍵は道具であると同時に、その時代の送信機がどんなものだったかを語る証人でもある。半世紀前の設計思想が、今も机の上でカチカチと音を立てている。これがこの趣味の、いちばん贅沢なところだと思う。

次は実際に打鍵した感触と、簡単な整備の記録を書く予定。

[主な参考資料]
・CQ出版社『モールス・キー コレクション』
・Radiomuseum.org(Dentsu Seiki/Hi-Mound の項)
・海外の電鍵史資料(Dentsu Seiki & Hi-Mound の沿革)

73 de JI1ALP

2026年8月18日火曜日

2026年 KCJコンテスト 参加記

KCJコンテスト に参加した

24時間のコンテストのうち、参加できたのは実質6時間。それでも172局・87マルチ・15,138点と、当局としては悪くない結果になった。フルタイムで張り付けなくても、バンドの選び方さえ間違えなければコンテストはちゃんと楽しめる。今回はそれを再確認した回だった。

まずは結果から

BandQSOsPtsMulti
1.9MHz171713
3.5MHz191913
7MHz10210341
14MHz232314
21MHz121
28MHz10105
TOTAL17217487

スコアは 174 × 87 = 15,138点。運用時間は5.79時間、平均30.2局/時間だった。
シングルオペ・マルチバンド部門、リグは FTDX-10 を50W、アンテナは 釣竿(Rod ANT)+ATU、30mh。ロガーは CTESTWIN。50MHzはアンテナを設置できず、今回はあっさり断念した。マンションのベランダ運用は、こういうところで潔さが求められる。









ポイント① 7MHzが完全に主戦場だった

172局のうち102局、実に6割が7MHzである。マルチも41と、全87マルチの半分近くをここで稼いだ。17時台から20時前まで、ほぼ7MHzに居座っていた計算になる。

国内コンテストの7MHzは、たとえるならお盆の高速道路だ。とにかく車(局)の数が多い。混んでいて呼び負けることもあるが、走っている限り必ず前に進む。短時間参加なら、悩まずここに時間を注ぐのが正解だと改めて思った。

ポイント② ハイバンドは「開いていなかった」ではなく「終わっていた」

スタートした15時台は28MHzがまだ少し開いていて、6局ほど拾えた。21MHzに至っては RC0CD の1局のみ。これがそのまま1マルチである。14MHzは23局と、それなりに国内が飛んでくれた。

8月中旬のこの時間帯、Eスポの残り香を拾いにいく感覚だった。閉店間際のスーパーの惣菜コーナーみたいなもので、あるにはあるが、選べるほどは残っていない。17時過ぎにもう一度28MHzを覗いて4局追加できたのは、望外の収穫だった。

ポイント③ ローバンドは「局数」より「マルチ効率」

1.9MHzは17局で13マルチ、3.5MHzは19局で13マルチ。局数こそ少ないが、呼んだ局のほとんどが新しいマルチになるのがローバンドの強みだ。7MHzのマルチ効率が4割程度なのに対し、1.9MHzは7割を超えている。

スタンプラリーでいえば、7MHzは人気スポットで行列に並ぶようなもの。対して1.9MHzは、人は少ないが行けば必ず未押印のスタンプがある穴場だ。20時台にローバンドへ降りたのは、時間配分としては正解だった。もう少し早く降りてもよかったかもしれない。

途中、XYLより買い物指令が下る

ログを見ると、15時56分から17時04分までぽっかり穴が空いている。これは電離層のせいではない。XYLからの買い物指示である。

14MHzで九州や北海道と楽しくやっていたところに「近所のスーパー、行ってきて」の一声。コンテスト中だから、とは言えないのが家庭内の電波法令というものだ。素直にヘッドホンを外し、近所のスーパーへ向かった。

そもそも今回の参加が土日を通して6時間ほどにとどまったのも、家事都合による。だが不思議なもので、時間が限られているとかえって集中する。「今日はこの時間だけ」と決めた運用は、ダラダラ24時間張り付くより濃いのかもしれない。買い物から帰ってきて再開した17時台からの2時間が、今回いちばん密度が高かった。








まとめ - 短時間参加のすすめ

50MHzは出られず、ハイバンドも細く、家庭の事情で細切れ。条件だけ並べれば散々だが、終わってみれば15,138点で、しっかり楽しめた。
DXではBH4HKZ(中国)とRC0CD(アジアロシア)に拾ってもらえたのも、50Wと釣竿アンテナにしては上出来だ。

コンテストは「フル参加できないなら出ない」と考えがちだが、そんなことはない。数時間でも出れば、ログにはその日の電離層と、その日の暮らしが残る。買い物に行った68分の空白も、いま見返せば立派な記録である。

次回は50MHzのアンテナをなんとかしたい。それが当面の宿題だ。

交信した各局、ありがとうございました。

73 de JI1ALP

2026年8月3日月曜日

2026 フィールドデーコンテスト参加記



JQ1ZPD/1 でクラブ松戸をPRする

2026年8月1日21時から2日15時まで開催されたJARLフィールドデーコンテストに参加した。今回は個人局ではなく、所属するクラブ局「クラブ松戸」JQ1ZPD/1 のコールサインで、松戸市内から電信電話部門オールバンドでの運用である。

結果は 357局 × 135マルチ = 48,195点。数字だけ見れば平凡だが、今回はスコアよりも「やりたかったこと」が三つあって、それがひと通り達成できたので満足度は高い。

1. 目的はクラブ松戸のPR

そもそも今回JQ1ZPD/1を担いだ最大の理由は、クラブ松戸の名前を電波に乗せることだ。

クラブ局のコールサインというのは、出さなければただの記号のままである。逆に、コンテストで一晩中呼ばれ続ければ、それだけで「JQ1ZPDって松戸のクラブか」と覚えてもらえる。ローカルのラグチューで100回宣伝するより、コンテストで357回コールサインを送出するほうが早い。看板は、掲げるより歩き回るほうが目立つのだ。

実際、呼んでくださった方から「ZPDは松戸ですか」と言われたことが何度かあった。狙いどおりで、これはうれしい。松戸市内、あるいは近隣で「クラブ松戸って何やってるの?」と思った方がいたら、それがこの記事の目的でもある。

2. スコアとバンド別の内訳

BandQSOsPtsMulti
1.9MHz12128
3.5MHz303016
7MHz323219
14MHz818128
21MHz171713
28MHz121210
50MHz535321
144MHz19199
430MHz90908
1200MHz11113
Total357357135

局数の柱は430MHz(90局)と14MHz(81局)。430はFMで一気に稼ぎ、14はCWでマルチを28まで伸ばした。フィールドデーらしくV/UHFが効くのは想定どおりだが、点数を押し上げたのはやはりHFローバンドとハイバンドのマルチである。

モード別では CW 240局・FM 82局・SSB 35局。全体の3分の2がCWという、いつもどおりの偏り方になった。私のデータから相手の電力記号を見ると、100W以下(M)が304局に対して10W以下(L)が25局、5W以下(P)が28局。移動運用の小電力局が全体の15%ほどいて、こういう局を確実に拾えるかどうかがフィールドデーの性格を表している。

3. 「しっかり寝る」という作戦

今回いちばん意識したのは、実は運用テクニックではなく生活のほうである

時間帯別のレートを見ると一目瞭然で、開始直後の21時台が58局と最も多く、22時台42局、23時台13局と落ちていく。0時台21局、1時台20局、2時台8局まで粘って、そこで店じまい。そして3時から7時まではログが真っ白である。寝ていた…zzzz

運用時間の実際
コンテスト時間18時間のうち、実際にリグの前にいたのは約13時間。それで357局だから、実質レートは約27局/時間。ソフトが表示する平均19.9局/時間より、体感はずっと忙しい。

8時台18局、9時台24局、10時台25局、11時台30局と午前中に立て直し、12時台はいったん10局に落ち込むが、これは昼食と家事の時間。そしてラストの13時台に68局と本日最高を叩き出して、14時台20局でフィニッシュ。終盤の追い込みができたのは、間違いなく寝ていたおかげだ、と考えようhi

徹夜で朝方にフラフラになりながら取りこぼすくらいなら、寝て、最後の2時間に全力を出したほうが得点は伸びる。マラソンで序盤に飛ばして後半歩くより、ペースを守って最後にスパートするほうが速いのと同じである。



4. 家事はしっかり(妻の指示)

そしてもう一つ。今回は家事もきちんとこなした。というより、こなすようにという指示が家庭内から出ていた。

正直なところ、これは制約ではなく助けになったと思っている。洗濯物を干しに行き、昼食の片付けをして、その間はリグから離れる。戻ってくると耳がリセットされていて、さっきまで取れなかった弱い信号が急に浮かんで聞こえる。12時台のレート低下は家事による中断だが、その直後の13時台が最高記録なのだから、休憩の効果としては上出来だ。

コンテストは18時間続くが、家庭生活はその後もずっと続く。長く趣味を続けるための運用設計として、これが正解だと思う。決してXYLが怖いからではない….

5. hQSLの利用率が明らかに増えている

今回強く感じたのが、hQSL(Turbo HAMLOGの電子QSL)を使う局の増加である。

コンテスト終了後、ログを整理していると電子QSLが次々と着信する。以前は一部の常連だけという印象だったが、今回はコンテストで呼んでくださった国内局のかなりの割合がhQSLユーザーだった。(約39%)

紙のQSLカードでJARLビューロー経由となると、届くのは半年後、下手をすると1年後だ。それがコンテストの当日か翌日に届く。ラーメン屋で言えば、注文から30分待つのが当たり前だった店に、券売機と自動調理器が入って3分で出てくるようになったような変化である。味(=交信の記録)は同じで、待ち時間だけが消えた。

もちろん紙のカードには紙の良さがある。ただ、コンテストのように大量交信が発生する場面では、電子QSLの相性の良さは圧倒的だ。この流れはもう戻らないだろう。

6. CTESTWINのトレーニングとして

最後に、これは個人的なテーマ。当局は普段、コンテストロガーにN1MM+を使うことが多い。しかし国内コンテスト、特にJARL系の各種ナンバーやマルチ判定に関しては、CTESTWINのほうが素直に扱えることが多く、クラブでの共同運用を考えても習熟しておきたかった。

そこで今回は、あえてCTESTWIN で18時間を通した。リグを接続し、バンドマップ、周波数リスト、県マルチ表示、ファンクションキーによるCW送出とボイスメモリまで一通り動かしてみた。

使ってみての印象を、N1MM+との比較で整理しておく。

観点CTESTWIN のメリットCTESTWIN のデメリット
国内コンテスト対応JARL系の規約・県マルチ・電力記号にそのまま対応。設定がほぼ不要海外コンテストの対応範囲はN1MM+に及ばない
操作性ウィンドウが軽く、動作が速い。低スペックPCでも安定画面が別ウィンドウに分かれ、配置は自分で整える必要がある
ログ提出JARL電子ログ形式をそのまま出力できるCabrilloまわりは用途によって一手間
情報量日本語の情報とユーザーが多く、困ったときに調べやすいSO2Rや高度なネットワーク運用はN1MM+が優位

結論として、国内コンテストはCTESTWIN、DXコンテストはN1MM+という使い分けが当局には合っていそうだ。今回18時間叩き込んだことで、キー操作はだいぶ身体に入った。次の国内コンテストでは迷わず使えるはずである。

まとめ

今回のフィールドデーで得たものを三つにまとめると、こうなる。

  1. クラブ松戸のPR ― コンテストを通じ多少のPR、認識をしてもらえた。
  2. 持続可能な運用スタイル ― 寝る、家事をする、制約はむしろ武器になる。
  3. CTESTWINの習熟 ― 国内コンテスト用ロガーとしての土台ができた。

呼んでくださった皆さん、ありがとうございました。QSLはhQSLでお送りします。

73 de JI1ALP (JQ1ZPD/1)

2026年7月26日日曜日

気になるRigウォッチXiegu G7250 まもなく登場か

最近、海外のアマチュア無線関連サイトの広告でやたら目に留まる機体があった。
Xieguの新型、G7250だ。思わず広告を何度もクリックしてしまった。
今日はこの気になる新顔について、調べたことをまとめておく。












画像:Radioddity より


結論から言うと

G7250はまだ「発表されたばかりのプレビュー機」で、価格も発売時期も未定。FT8についても本体単体でデコードできるような記載はなく、基本的にはPCと接続してWSJT-Xなどで運用するスタイルになりそうだ。とはいえ、分離型の筐体と100Wという出力は、当局の環境でも十分に魅力的だと感じた。

そもそもXieguというメーカーは

中国のアマチュア無線機メーカーで、コンパクトなSDR機を得意としている。ローカルが使っているG90(20W・据置?)、バッテリー内蔵で持ち運べるX6100/X6200、5WのQRP機G106などがラインナップの中心だ。価格の割に機能が詰まっている、という評判で人気を伸ばしてきたメーカーだと理解している。

Xiegu主要ラインナップ(参考)
・G90:20W、据置〜モービル向けの定番機
・X6100 / X6200:バッテリー内蔵、ポータブル運用向け
・G106:5W、軽量QRP機
・G7250:今回の新顔。100W級・分離型フラッグシップ

Xiegu-eu 

気になっていた3点を調べてみた

① 金額

結論、まだ正式な価格発表はないRadioddityやXiegu公式サイトでは「デポジット(予約金)を払って優先案内リストに登録する」という段階で、価格欄は空欄のままだった。いわば発表会の壇上に試作機だけが置かれていて、値札はまだ用意されていない状態だ。

② FT-8はRIGだけで使えるのか

ここが一番気になっていた点だが、本体単体でFT8をデコードできるという記載は見当たらなかった。動作モードには「SSB, CW, NFM, AM, DIG」とあり、DIGはデジタルモード用の入出力に対応しているという意味合いに近い。Xiegu X6100、X6200などはファームウェア改造することでRIG単体でFT-8の運用ができるようだ。(ようしらんけど...)

むしろ目立つのは、ネットワーク経由でベースバンド信号をストリーミングし、HDSDRなど外部のSDRソフトで処理できるという機能だ。

③ その他の特長
項目内容
出力HF:100W / 50MHz:90W
受信周波数0.5〜30MHz(HF)、50〜54MHz(6m)
方式直接RFサンプリング方式のSDR
筐体構造操作部(7インチタッチ+物理ボタン19個)と本体を分離、LANケーブルで最大100m離せる
アンテナチューナー内蔵、整合範囲20〜150Ω、初回10秒以内・メモリー呼び出し0.1秒以下
その他機能ボイスメモリ、CW自動送出メッセージ、スペクトラム&ウォーターフォール表示

分離型は、今までの「一体型カーナビ」から「画面だけ取り外して助手席に置けるタブレット型カーナビ」に進化したようなイメージだ。シャックが狭くても、本体だけ別室やクローゼットに逃がせるのは地味に大きい。国産だと、IC-7760が分離型。

導入するならどう使うか

もし当局が導入するとしたら、まず活きてくるのはコンテスト運用だと思う。100Wという出力は、アパマン固定運用において、パイルアップの奥まで電波を通せる可能性が高くなる。加えて分離型の構造は、シャック内の限られたスペースでも本体を機材棚の奥に押し込んで、操作パネルだけデスク上に置く、という配置がしやすい。

運用面では、FT8は素直にPC接続を前提に考えることになりそうだ。当局の環境ならUSB経由でJTDXと組み合わせるいつものスタイルがそのまま使えるはずなので、大きなハードルにはならないだろう。
むしろ気になるのは、ネットワークベースバンドストリーミング機能。これを使えば、離れた場所に置いた本体をリモートで動かす、という運用も視野に入ってくる。

ただし現時点ではまだプロトタイプ段階で、価格も発売時期も未定。正式発表が出るまでは、様子見が賢明だろう。続報が入り次第、またここで取り上げたい。

「畳とRIGとナントカは新しい方が好き」 de JI1ALP