2026年7月26日日曜日

気になるRigウォッチXiegu G7250 まもなく登場か

最近、海外のアマチュア無線関連サイトの広告でやたら目に留まる機体があった。
Xieguの新型、G7250だ。思わず広告を何度もクリックしてしまった。
今日はこの気になる新顔について、調べたことをまとめておく。












画像:Radioddity より


結論から言うと

G7250はまだ「発表されたばかりのプレビュー機」で、価格も発売時期も未定。FT8についても本体単体でデコードできるような記載はなく、基本的にはPCと接続してWSJT-Xなどで運用するスタイルになりそうだ。とはいえ、分離型の筐体と100Wという出力は、当局の環境でも十分に魅力的だと感じた。

そもそもXieguというメーカーは

中国のアマチュア無線機メーカーで、コンパクトなSDR機を得意としている。ローカルが使っているG90(20W・据置?)、バッテリー内蔵で持ち運べるX6100/X6200、5WのQRP機G106などがラインナップの中心だ。価格の割に機能が詰まっている、という評判で人気を伸ばしてきたメーカーだと理解している。

Xiegu主要ラインナップ(参考)
・G90:20W、据置〜モービル向けの定番機
・X6100 / X6200:バッテリー内蔵、ポータブル運用向け
・G106:5W、軽量QRP機
・G7250:今回の新顔。100W級・分離型フラッグシップ

Xiegu-eu 

気になっていた3点を調べてみた

① 金額

結論、まだ正式な価格発表はないRadioddityやXiegu公式サイトでは「デポジット(予約金)を払って優先案内リストに登録する」という段階で、価格欄は空欄のままだった。いわば発表会の壇上に試作機だけが置かれていて、値札はまだ用意されていない状態だ。

② FT-8はRIGだけで使えるのか

ここが一番気になっていた点だが、本体単体でFT8をデコードできるという記載は見当たらなかった。動作モードには「SSB, CW, NFM, AM, DIG」とあり、DIGはデジタルモード用の入出力に対応しているという意味合いに近い。Xiegu X6100、X6200などはファームウェア改造することでRIG単体でFT-8の運用ができるようだ。(ようしらんけど...)

むしろ目立つのは、ネットワーク経由でベースバンド信号をストリーミングし、HDSDRなど外部のSDRソフトで処理できるという機能だ。

③ その他の特長
項目内容
出力HF:100W / 50MHz:90W
受信周波数0.5〜30MHz(HF)、50〜54MHz(6m)
方式直接RFサンプリング方式のSDR
筐体構造操作部(7インチタッチ+物理ボタン19個)と本体を分離、LANケーブルで最大100m離せる
アンテナチューナー内蔵、整合範囲20〜150Ω、初回10秒以内・メモリー呼び出し0.1秒以下
その他機能ボイスメモリ、CW自動送出メッセージ、スペクトラム&ウォーターフォール表示

分離型は、今までの「一体型カーナビ」から「画面だけ取り外して助手席に置けるタブレット型カーナビ」に進化したようなイメージだ。シャックが狭くても、本体だけ別室やクローゼットに逃がせるのは地味に大きい。国産だと、IC-7760が分離型。

導入するならどう使うか

もし当局が導入するとしたら、まず活きてくるのはコンテスト運用だと思う。100Wという出力は、アパマン固定運用において、パイルアップの奥まで電波を通せる可能性が高くなる。加えて分離型の構造は、シャック内の限られたスペースでも本体を機材棚の奥に押し込んで、操作パネルだけデスク上に置く、という配置がしやすい。

運用面では、FT8は素直にPC接続を前提に考えることになりそうだ。当局の環境ならUSB経由でJTDXと組み合わせるいつものスタイルがそのまま使えるはずなので、大きなハードルにはならないだろう。
むしろ気になるのは、ネットワークベースバンドストリーミング機能。これを使えば、離れた場所に置いた本体をリモートで動かす、という運用も視野に入ってくる。

ただし現時点ではまだプロトタイプ段階で、価格も発売時期も未定。正式発表が出るまでは、様子見が賢明だろう。続報が入り次第、またここで取り上げたい。

「畳とRIGとナントカは新しい方が好き」 de JI1ALP


2026年7月21日火曜日

2026年オール横浜コンテスト参加記

オール横浜コンテスト

7月20日、海の日に開催された第78回オール横浜コンテストに参加した。28MHz帯のみ、市外局として1時間59分の短期戦だ。今回は運用面でちょっとしたドタバタがあったので、そのあたりも含めて振り返ってみたい。

南ベランダのホイップが不調、急遽アンテナ変更

コンテスト用に設置した28MHzモービルホイップが開始直前にSWRの様子がおかしいことに気づいた。原因を追っている時間もなかったので、急遽北側ベランダのRODANTとATUの組み合わせに切り替えて参加することにした。

モービルホイップは「手軽に運用できる」のが利点だが、素子や給電部の接触不良にはやはり弱い。一方RODANTは、ATUさえかませば結構な帯域で追従してくれる。今回はこの「予備アンテナがちゃんと予備として機能した」ことが一番の収穫だったかもしれない。

移転してアンテナがビームからホイップに、横浜が遠くなった

当局は2022年まで住んでいた場所ではタワー+ビームアンテナで運用していた。指向性があるアンテナは狙った方向に電波を集中させられるので、同じ50Wでも相手に届く強さがまるで違う。ところが移転先のベランダ環境ではビームを上げるスペースが確保できず、今はホイップやRODANTといったアンテナでのアパマン運用が中心になっている。

結果として、以前なら苦もなく交信できていた横浜市内の局が、今回はずいぶん「遠く」に感じられた。距離としては変わっていないのに、アンテナが変わっただけで心理的な距離感まで変わってしまう。これはコンテストをやっていて改めて実感したことだ。

結果まとめ

項目結果
使用バンド28MHz
参加部門XM(市外電信電話)
交信数12局
得点17点
マルチ3(区コード 03・12・15)
総得点51点
使用機材FTDX-10 + RODANT/ATU(北側ベランダ)
出力50W(定格出力)

市外局同士の交信が中心になったため得点は1点交信が多かったが、(区コード03)と(区コード12)、(区コード15)の3局でマルチを稼げたのが今回のポイントだ。
ボーナス局のJA1YCSとは今回コンディションの巡り合わせもあって交信できなかった。
次回への宿題としたい。

次回に向けて

南ベランダのホイップは近いうちにコネクタ周りを点検するつもりだ。RODANT+ATUという組み合わせが「困ったときの相棒」として機能してくれたのは収穫だったが、やはりメインアンテナは万全な状態にしておきたい。ビームアンテナ、タワーなどの環境変化はすぐには埋められないが、アンテナ調整と運用の工夫でできることはまだありそうだ。

短時間コンテストながら、アンテナトラブルと移転後の環境変化を同時に実感できた良い機会だった。
次回はもう少しマルチを伸ばしたい。

73 de JI1ALP

2026年7月19日日曜日

電通大コンテスト2026 参戦記

7月18日開催の電通大コンテスト(オールバンド部門)に参戦してきたので、その様子をレポートしたい。

結論から言うと、75局と交信、マルチ47、得点203で、スコアは9,541点。運用時間はわずか3時間ながら、楽しめた内容であった。

今回のハイライト 3つ

  1. スタートはまさかの「イオンの宅配便対応」で30分以上遅刻 — コンテスト前の貴重な時間が水・お茶・米・トイレットペーパーの搬入作業で消えた話
  2. 使用機材はFTDX-10+ロッドアンテナ(HF)+モービルホイップ(50MHz)、出力50W — いつものお手軽組み合わせ
  3. 7MHzが主戦場、40局・96点・マルチ21 — 短時間コンテストではバンドの見極めが勝負を分ける

開始早々のアクシデント:イオンの宅配便には逆らえない

コンテストは17時開始だったのだが、私がキーを握った(実際はキーボードHi)17時37分。約35分の遅刻である。

理由はまさかのイオンネットスーパーの宅配便だ。水、お茶、米、トイレットペーパーといった重量級の日用品一式がちょうどコンテスト開始直前に到着し、「玄関先に放置するわけにもいかないから、納戸まで運んで」という指令が下った。こちらとしては「コンテストが始まるから後で!」と言いたいところなのだが、水の2Lケースと米袋を前にすると、そんな主張はあっさり却下される。優先順位は明白、コンテスト・電波法令より先に「搬入作業」である。

というわけで、開始と同時にリグの電源を入れる予定が、気づけば水のケースを抱えて納戸との往復を繰り返すという、なんとも締まらないスタートになった。とはいえ、コンテストは逃げない。荷物を運び終えて腹をくくり、17時37分、21MHzからの1局目で仕切り直しである。

今回の装備

シャックの布陣は以下の通り、いつも通りのお手軽スタイルだ。

  • 無線機:FTDX-10
  • HFアンテナ:5mロッドアンテナ+ATU(SG-230 オートアンテナチューナー)
  • 50MHzアンテナ:モービルホイップ
  • 出力:50W
  • ロギング:CTESTWIN

タワーもビームもない、集合住宅住まいのお手本のような設備だが、ロッドアンテナとATUの組み合わせは伊達ではない。1.9MHzから28MHzまで、6バンドすべてに顔を出せたのがその証拠だ。
残念ながらロケーションの良い北側ベランダは洗濯物で利用できず、建物の影響が大きく飛びの悪い北側ベランダへのアンテナ設置となった。



バンド別の結果

バンドQSO数得点マルチ数
1.9MHz6156
3.5MHz144710
7MHz409621
14MHz6135
21MHz121
28MHz151
50MHz7253
合計7520347

スコアは203(得点)×47(マルチ)=9,541点。見ての通り7MHzが主戦場で、QSO数・得点・マルチのすべてで最大の稼ぎ頭になった。夕方から夜にかけての時間帯とバンドコンディションがうまく噛み合った印象だ。一方、21MHzと28MHzは各1局のみ。短時間コンテストゆえ、コンディションが開けていないバンドに長居する余裕はない、という判断である。

QSOレートで振り返る3時間

運用時間は17時台・18時台・19時台の3時間。QSOレートグラフを見ると、17時台は遅刻の影響で11局にとどまったが、18時台に一気にペースを上げて約29局、19時台も29局とハイペースを維持できた。トータル75局、平均すると1時間あたり25.1局のペースだ。出遅れを取り戻そうと、まずはCQランニングよりも呼びまわり、無我夢中でキーボードを叩いていた時間帯である。


まとめ

今回の電通大コンテストは、開始直後の「イオンの宅配便対応」という不可抗力に見舞われながらも、最終的には9,541点という結果に着地できた。ロッドアンテナ+50Wというシンプルな設備でも、バンドの見極めと集中運用で十分戦えることを改めて実感した回だった。
交信出来たUEC関係局は14局。約19%の局からUECをもらった。関係者の熱意には頭が下がるコンテストであった。

次回は開始前にネットスーパーの配達時間を確認してから電源を入れたいところである。
CU in Next TEST  de JI1ALP

2026年7月17日金曜日

弟の死から学ぶ、糖尿病という「静かな病」

私事だが、今回はどうしても書いておきたいことがある。

7月15日、弟が心筋梗塞で急逝した。61歳だった。糖尿病を患ったのは20年前。そして3年前から腎不全が進み、人工透析を続けていた。20年という時間、糖尿病と付き合ってきた末の結末だった。突然のことで、正直まだ気持ちの整理がついていない部分もある。だが、この経験を自分の中だけに留めず、同世代のHAM仲間にも伝えるべきだと思い、筆を執ることにした。

結論から言おう。糖尿病は「血糖値がちょっと高いだけ」の病気ではない。何年もかけて全身の血管を静かに傷めつけ、ある日突然、心筋梗塞や脳卒中という形で牙をむく病気だ。そして、その予防と早期発見は、決して難しいことではない。今日からできることばかりだ。

今回お伝えしたい3つのポイント

  1. 糖尿病の本当の怖さは「三大合併症」と「動脈硬化性疾患」にある
  2. 自覚症状が出る前の定期検査が命を守る
  3. 食事・運動・禁煙・血圧管理という「当たり前」の継続が最大の予防策

糖尿病が本当に怖い理由 ― 「サビ」のイメージで考える

糖尿病を、水道管の内側にじわじわサビが溜まっていく現象に例えるとわかりやすい。蛇口をひねれば普段どおり水は出る。つまり自覚症状はほとんどない。しかし管の内側では、高血糖の状態が何年も続くことで、血管が少しずつ傷ついていく。そしてある日、サビが限界に達した場所で、管が完全に詰まる。それが心筋梗塞であり、脳卒中であり、弟の場合は腎不全だった。

弟は20年にわたる糖尿病の末に腎不全へと進行し、3年前から人工透析を続けていた。そして61歳、心筋梗塞で命を落とした。これはすべて、一本の糸でつながった「血管の病気」の結果だ。

代表的な合併症一覧

分類疾患名特徴
三大合併症(細い血管)糖尿病網膜症進行すると失明のリスク
三大合併症(細い血管)糖尿病腎症進行すると人工透析が必要に
三大合併症(細い血管)糖尿病神経障害手足のしびれ、感覚低下
動脈硬化性疾患(太い血管)心筋梗塞自覚症状なく突然発症することも
動脈硬化性疾患(太い血管)脳卒中後遺症のリスクが高い
動脈硬化性疾患(太い血管)末梢動脈疾患足の血流障害、壊疽のリスク

ここで重要なのは、細い血管の合併症(網膜症・腎症・神経障害)が進んでいる人ほど、太い血管の合併症(心筋梗塞・脳卒中)のリスクも高いという事実だ。弟のように透析まで進んでいたケースは、心血管疾患のハイリスク群だったと言える。

予防の柱 ― 難しいことではない

①定期検査
健康診断でのHbA1c(過去1〜2ヶ月の平均血糖値を示す指標)と空腹時血糖値のチェックが最も基本。自覚症状が出た時にはすでに合併症が進んでいることが多い。年1回は必ず受ける。
②食事
白米・パン・麺類などの糖質の摂りすぎを避け、野菜から先に食べる「ベジファースト」を意識する。腹八分目。
③運動
ウォーキングなどの有酸素運動を週150分程度。運動は血糖値を下げるだけでなく、血管そのものをしなやかに保つ効果がある。
④禁煙・血圧管理
喫煙は血管を直接傷める。高血圧の放置も動脈硬化を加速させる。糖尿病単独よりも、これらが重なった時の方が心筋梗塞のリスクは格段に上がる。

私自身のこと

私は今のところ糖尿病ではない。ただ、家族・親戚を見渡すと遺伝かと思うくらい、糖尿病を患っている者が多く、決して他人事ではないと感じている。弟の死をきっかけに、私自身も定期検査を継続し、食事と運動を見直していくつもりだ。

HAM仲間へ

コンテストやアイーボールミーティングで顔を合わせる仲間には、私と同世代、あるいはそれ以上の方も多い。無線機の前に座っている時間が長い趣味だからこそ、運動不足になりがちだし、健康診断を後回しにしてしまう人もいるかもしれない。

弟の死を無駄にしたくない。この記事が、誰か一人でも「今年は健康診断に行ってみようか」と思うきっかけになれば、弟もきっと喜んでくれると思う。

73 de JI1ALP

2026年7月15日水曜日

170年前に生まれた男が 今日もHFで呼びかけてくる 〜9A170NTとニコラ・テスラの話


7月13日、日付が変わる直前、14MHzのCWバンドで耳慣れないコールサインが飛び込んできた。9A170NT : Special calls for 170th anniversary of Nikola Tesla's birth
クロアチアからの記念局だ。ピンときてすぐに呼んでみたら、一発で599のレポートが返ってきた。強力な信号で、コンディションの良さを実感した瞬間だった。

この「170」という数字、ただの記念局番号ではない。
今年2026年はニコラ・テスラ (Nikola Tesla) 生誕170周年にあたり、この特別な区切りを祝って世界各地でテスラ関連のイベントが行われているのだ。日本でも8J/8Nで始まる記念局が各地のイベントに合わせて登場するのと同じ感覚で、ヨーロッパでも毎年こうした記念局が数多く運用される。テスラはクロアチア(当時のオーストリア帝国領スミリャン)生まれの発明家なので、クロアチアのアマチュア無線連盟(Croatian Amateur Radio Association, HRS)が中心となってこの記念局を運用しているというわけだ。

■ QSOの記録

この日は9A170NTに続けて、同じくスペシャルイベント局であるDL2026T(WRTC 2026記念局)ともQSOできた。同じ日に2局の記念局と交信できたのは、嬉しい出来事だった。

CALL日時(UTC)周波数MODE
備考
9A170NT2026/07/13 14:5314.027MHz CW
ニコラ・テスラ生誕170周年記念局(クロアチア)
DL2026T2026/07/13 15:0714.028MHz   CW
WRTC 2026記念局(ドイツ)

9A170NTは599/599という強力な信号で、パイルアップもさほど大きくなく、スムーズに交信できたのが印象的だった。
14MHzの夜のコンディションが良く、開けていた時間帯だったのだろう。
ちなみに、FT-8でもEUがFBにOPENしていた。

■ ニコラ・テスラという人

ニコラ・テスラは1856年7月10日生まれ。交流電力システムの基礎を築き、モーターや発電機、無線送電の研究など、今の電気の世界の土台を作った人物の一人だ。私たちアマチュア無線家にとっても、電磁気の基礎を築いた偉人として無縁ではない存在である。

面白いのは、彼が「発明家」であると同時に、かなり変わった性格の持ち主だったという点だ。数字の「3」への強いこだわりがあったことで知られていて、部屋に入る前に建物の周りを3周する、宿泊するホテルの部屋番号は必ず3の倍数を指定する、食事の前にはナプキンを3枚使う、といった逸話が伝えられている。まさに天才と紙一重のエピソードで、こういう人間味のある話を知ると、教科書の中の偉人像がぐっと身近に感じられる。

交流(AC)か直流(DC)かで争われた「電流戦争」でエジソンと対立したことでも有名だが、結果的に現代の送電網は交流方式が主流になっている。テスラの先見性がなければ、今こうしてHFの電波に乗って世界中と交信することもできなかったかもしれない、と思うと感慨深い。

■ おわりに

170年前に生まれた発明家の名を冠した記念局と、CWの符号を通じて瞬間的につながる――アマチュア無線をやっていると、こういう歴史との接点にふと出会えるのが面白い。次にどんな記念局に出会えるか、また電波の向こうを楽しみにワッチを続けたいと思う。

73 de JI1ALP







2026年7月13日月曜日

IARU HF World Championship 2026 参戦記

今年もIARU HF World Championshipに参加した。結果は38QSO、スコア1650点。数字だけ見ると地味だが、なかなかドラマチックな一日だったので、記録がてら書いておこうと思う。

実は今回のコンテスト、日曜日は朝から予定があって外出しており、日中はまったく運用できなかった。それでも深夜と、家を出る直前のわずかな時間に「濃い運用」ができた事が嬉しい。

使用リグはFTDX-10 、アンテナは釣り竿アンテナ+SG-230 ATU である。

■ 深夜1時半〜4時半、14MHzが独壇場だった

土曜の夜が明けきらないうちに無線機の前に座った。時刻は深夜1時半過ぎ。14MHzにダイヤルを合わせると、ほど良いコンディションだった。

DLドイツ、LZ0HQ(ブルガリアHQ)、OL(チェコ)、YR0HQ(ルーマニアHQ)、HL0HQ(韓国HQ)、OMスロバキア)、RN(ロシア)、HG(ハンガリー)、OP0HQ(ベルギーHQ)、SV1(ギリシャ)、R5HQ(ロシアHQ)、EC6・EF6(スペイン)、HB9HQ(スイスHQ)、LX7(ルクセンブルク)、YL(ラトビア)、ED0HQ(スペインHQ)、OK(チェコ)、4U1A(ウィーン国連局)、S50HQ(スロベニアHQ)、E7(ボスニア)、B7HQ(中国HQ)、IK(イタリア)……

短時間でこれだけのHQ局・DX局を拾えたのは、正直嬉しい誤算だった。低パワー(50W)+釣り竿アンテナという設備でここまで飛ぶと、やはり14MHzの夜間コンディションの良さを実感する。この時間帯だけで27局、スコアの大半を稼いだことになる。

■ JARL HQ局、8N3HQは結局1局しか取れず

一旦仮眠を挟み、日曜の朝10時過ぎに無線機の前に戻った。ここで狙っていたのが自国のJARL HQ局だ。10時21分、8N3HQ を14MHzで無事コンタクト。ところが、そこで時間切れ。出かける支度をしなければならず、他のバンドでのJARL HQ局の追加QSOはできなかった。

HQ局は結果的に1局のみ。ここは完全に時間との勝負に負けた形だ。次回は参加時間と時間配分をもう少し考えたい。

■ 出発直前、28MHzがまさかの国内オープン

8N3HQを取った直後、なんとなく28MHzにQSYしてみたら、国内が賑やかにオープンしていた。テンポよく10局。まさにスポラディックE、瞬間芸のような開けっぷりだった。

この12分間がなければスコアはもっと寂しいものになっていたはずで、出かける直前の「ダメ元でワッチ」が功を奏した形だ。10分後には運用を切り上げ、そのまま家を出た。

■ バンド別まとめ

バンドQSO数時間帯(JST)特徴
14MHz28深夜1:32〜4:25 欧州・アジアのHQ局中心、好コンディション
28MHz10朝10:33〜10:45国内スポラディックE  近距離の2/3エリアが強力
合計38クレームドスコア 1650点

■ 振り返って

日中フルに運用できなかった割には、深夜の14MHzで楽しめたコンテストだった。特に深夜のヨーロッパ方面の開け方は記憶に残る。前サイクルでは夏の深夜14/,21MHzでCQを出すと、ヨーロッパやアフリカからの猛パイルを浴びた事も懐かしい思い出である。

それでは、また次のコンテストで。

ENJOY CONTEST !

2026年7月11日土曜日

SG-230 アンテナチューナー 技術仕様と分析

SGC SG-230 ——「給電点」に置くだけで化ける、泣く子も黙るリモートチューナー

先日のALL JA8コンテストでも、私はいつも通り釣り竿アンテナ+SG-230の組み合わせでベランダから電波を出していた。50Wの出力で交信が楽しめたのも、正直SG-230の働きが大きい。今日はこの「黒くて重い箱」について、じっくり語ってみようと思う。

■ SG-230とは何者か

米SGC社が世に送り出したSG-230は、HF帯全域をカバーする防水型のリモート・アンテナ・オートチューナーである。本体・オプションの製造は終了し、新品を販売するSHOPは限られているが、中古は割と流通している。
軍用・船舶用としても採用されてきた実績があり、アマチュア無線家の間でも「ゴールドスタンダード」と呼ばれ続けていた一台だ。まずは主要スペックを整理しておこう。

項目 仕様
周波数範囲1.6MHz〜30.0MHz
最大入力電力200W(PEP) / 80W(連続CW)
最小入力電力3W(チューニング時は10W推奨)
整合VSWR通常2.0:1以下
チューニング時間初回2秒以内/メモリ呼出10ミリ秒以内
メモリ容量170〜500個(製造時期による)
所要アンテナ長3.3MHz以上で約2.4m以上
電源DC13.8V(10〜18V)/最大約0.9A
重量・寸法約3.5kg/406×300×86mm

数字だけ見ても実感が湧かないと思うので、ここからは「なぜよく飛ぶのか」を私なりに噛み砕いてみる。





■ SG-230を使いこなす三カ条

SG-230の実力を引き出す方法は、突き詰めると次の3つに集約されると私は考えている。

① アンテナの根元(給電点)に置く
シャックの中にチューナーを置いて同軸ケーブルの先にアンテナをつなぐのではなく、アンテナの根元にSG-230そのものを設置するのが鉄則だ。たとえるなら、水道の蛇口から遠く離れた場所でホースの太さを調整するより、蛇口の真下で調整したほうが水漏れ(=損失)が少ないのと同じ理屈である。同軸内での反射損失をほぼゼロにできるので、ベランダから垂らした一本のワイヤーでも、フルサイズのダイポールに近い飛びを得られる。

② アース(カウンターポイズ)を侮らない
SG-230は「片肺」のチューナーだ。エレメントと同じくらい、強力なアースが性能を左右する。幸い、ベランダの手すりが良いアースとなっており、複数のワイヤーをカウンターポイズとして併用している。ここをケチると、せっかくの好条件も宝の持ち腐れになる。

③ インターフェース不要という自由度
最近のオートチューナーはリグ専用のインターフェースを必要とするものが多いが、SG-230はそれが要らない。古い真空管リグでも最新のSDRでも、SSBで一声出すか、CWでトーンを送るだけで整合が完了する。複数のリグを使い分ける身としては、この汎用性がありがたい。

■ 中古品を検討するなら、ここを見てほしい

SG-230は息の長い製品だけに、中古市場でもよく見かける。もし導入を考えているなら、基板の年代差を確認しておくと安心だ。

タイプ メリット デメリット
初期型(赤色LED7連) とにかく頑丈。長年の実績で信頼性が高い メモリ数が少なめ
後期型(5連LED) メモリ数が増え、CPUも新しい 流通量がやや少なく、相場が高め

また、SG-230は箱を持つとずっしり重いと感じるはずだが、これは内部のコイルが太くQ(クオリティファクタ)が高いことの裏返しでもある。重さは無駄ではなく、飛びの良さそのものなのだ。
スペック保証外であるが、6mのグラスファイバーロッドで1.8/1.9MHzも当局の環境で同調している。

■ まとめ——リグの裏側から、外の世界へ

最近のオートチューナーはリグと一体化して便利になった反面、本当の意味でアンテナの可能性を引き出せているかというと、私は少し疑問に思うことがある。SG-230は同軸一本と電源さえあれば、目の前の鉄柵だろうと、庭の木に投げた一本のワイヤーだろうと、黙々と整合させてしまう。ノイズの多い都市部で「ステルス・アンテナ」を余儀なくされている方にこそ、この給電点に置いたオートアンテナチューナーの威力を試してほしい。

「飛ばない、聞こえない」と嘆く前に、一度チューナーをリグの裏側から外に解放してみてはどうだろうか。「KW+ビームアンテナ」からアパマンベランダアンテナになった私が自信を持って推す「上がり」の周辺機器の一つである。