2026年8月20日木曜日

ハイモンド HK-1Z —「本当に電流を切る」電鍵

古いハイモンドの電鍵、HK-1Z を入手した。大理石の台に黒いベース、そして飴色に光る真鍮の銘板。机に置いた瞬間、部屋の空気が少し古くなったような気がした。










【ハイモンド HK-1Zの全景】

使い捨てライターと並べると、この大きさ。ずっしり重い。


この電鍵は「高級な置物」ではなく、明確な設計思想を持った実用機である。

  1. HK-1Z は φ6mm の銀接点を持つ、本当に大きな電流を切るための電鍵である。
  2. ハイモンドという会社の歴史は、創業者個人の経歴と法人の設立年が混ざって語られてきた。
  3. 台座の下部ベースの材質が、個体の年代を推定する手掛かりになる。

1. そもそも「ハイモンド」とは何者なのか

ハイモンドの創業者は Takaitsu Takatsuka(高塚)氏とされる。漢字表記は資料によって揺れがあるので、ここでは断定しないでおく。

経歴が実に濃い。1911年生まれ。1928年、まだ十代で海上無線の世界に入り、1929年に二級、1931年に一級の無線通信士免許を取得している。1932年には海軍に通信員として入り、1946年までその任にあった。戦後も無線・電子の道を歩み続けた、生粋の通信屋である。

そして社名。HI-MOUND という響きは洒落ていて、

  • 高 = High(Hi)
  • 塚 = Mound

つまり「高塚」を英訳したブランド名だと伝えられている。自分の名前を英語に直訳してブランドにする——なんとも良い時代の感覚だと思う。

2. 創業年が資料によって違う、という問題

調べていて最初に引っかかったのがここだった。 Hi-Mound は1946年創業としている。一方、海外の電鍵史資料では 1953年に電通精機株式会社(Dentsu-Seiki K.K.)を設立、1964年に経営難で活動停止、1968年に Hi-Mound Electro Co. を設立という、まったく別の年号が並んでいる。

どちらかが誤り、と切って捨てるのは簡単だが、高塚氏の経歴と並べてみると、これは食い違いではなく「何を数えているかの違い」だと考えた方がすっきりする。

何が起きたか
1946年 高塚氏が海軍を離れ、民間の通信・電子の仕事に戻った年。Radiomuseum の「創業1946年」はここを起点に取っている可能性が高い。=人物史の起点
1953年 東京で電通精機株式会社を設立。SWALLOW ブランドの電鍵はここから生まれた。=電鍵製造のルーツ
1964年 電通精機が経営難で活動を停止。
1968年 Hi-Mound Electro Co. を設立。=法人としてのハイモンドの起点

大まかな系譜は、

高塚無線 → 電通精機/SWALLOW → HI-MOUND ELECTRO

と見ると、非常に分かりやすい。「創業年はどれが正しいのか」と悩むより、人物の歩みと会社の器を分けて眺める方が、この会社の輪郭はよく見えてくる。

なお高塚氏は2003年2月28日、92歳で亡くなり、息子の Gouzo Takatsuka 氏が後を継いでいる。創業者は去っても、その姓を英訳したブランドは今も残っている。当局の机の上にも、こうして。

3. HK-1Z は「本当に電流を切る」電鍵である
















【HK-1Z の銘板】 
TELEGRAPH KEY / TYPE HK-1Z / HIMOUND ELECTRO CO.


一見すると単なる高級大理石電鍵なのだが、実はハイモンドの古い設計思想をかなり色濃く残している。

CQ出版社の『モールス・キー コレクション』では、HK-1Z について 銀接点 φ6mm という、かなり大きな接点を持つことが確認できる。さらに前部上側の接点は取り外し・調整が可能な構造。大型接点なので大電流のキーイングが可能で、発光信号用にも使用可能だったとされる。

接点の大きさは「我慢できる電流の量」

接点というのは、要するに金属どうしがぶつかって電気を通す場所である。そしてその大きさは、そのまま「どれだけの電流に耐えられるか」に直結する。

豆電球を点けるスイッチと、部屋の壁にある照明スイッチを思い浮かべてほしい。同じ「スイッチ」でも、中身の金属の厚みはまるで違う。φ6mm という銀接点は、電鍵としては明らかに壁スイッチ側の発想なのだ。

「発光信号用にも使えた」というのも、同じ理由で腑に落ちる。ランプを直接点滅させるには、それなりの電流を通し、そして切らなければならないからだ。

「KEY端子をON/OFFするだけ」ではない時代

現代の電鍵は、トランシーバーの KEY 端子を短絡するだけの、いわば「信号のスイッチ」である。流れる電流はごくわずかで、接点はほとんど摩耗しない。

だが真空管送信機を直接キーイングしていた時代には、接点そのものに相応の電気的能力が要求された。押した瞬間に本当に電流が流れ、離した瞬間に本当に切れる。HK-1Z は「本当に電流を切る電鍵」なのである。φ6mm という巨大な銀接点は、その時代の名残と考えると非常に納得できる。

4. 台座を見れば、年代が推定できる

















【HK-1Z の台座構造】 
天然大理石の板を、黒い下部ベースが受け止める二層構造。


台座は天然大理石+黒色下部ベースという堂々たる構成。この二層構造がまた良くて、白い石と黒い縁のコントラストだけで、机の上の格が一段上がる。

そして面白いのが、製造時期によって下部ベースの材質が異なるという点だ。CQ出版資料によれば、次のような違いが確認されている。

時期 下部ベース
前期 黒色モールド台
後期 黒色ABS樹脂台

つまり中古市場で HK-1Z を見比べる場合、「大理石の下が何でできているか」が、年代を推定する一つの手掛かりになる。これはコレクター的にはかなり重要なポイントだと思う。

当局の個体はどうか。
側面の型の合わせ目、台座を叩いたときの音、質感などから黒色ABS樹脂台の後期型と判断した。

5. おわりに

HK-1Z を手に入れて分かったのは、この電鍵が「装飾のために重いのではなく、仕事のために重かった」ということだ。大理石は打鍵の反力を受け止めるため、φ6mm の銀接点は本物の電流を切るため。どちらも、飾りではない。

電鍵は道具であると同時に、その時代の送信機がどんなものだったかを語る証人でもある。半世紀前の設計思想が、今も机の上でカチカチと音を立てている。これがこの趣味の、いちばん贅沢なところだと思う。

次は実際に打鍵した感触と、簡単な整備の記録を書く予定。

[主な参考資料]
・CQ出版社『モールス・キー コレクション』
・Radiomuseum.org(Dentsu Seiki/Hi-Mound の項)
・海外の電鍵史資料(Dentsu Seiki & Hi-Mound の沿革)

73 de JI1ALP

2026年8月18日火曜日

2026年 KCJコンテスト 参加記

KCJコンテスト に参加した

24時間のコンテストのうち、参加できたのは実質6時間。それでも172局・87マルチ・15,138点と、当局としては悪くない結果になった。フルタイムで張り付けなくても、バンドの選び方さえ間違えなければコンテストはちゃんと楽しめる。今回はそれを再確認した回だった。

まずは結果から

BandQSOsPtsMulti
1.9MHz171713
3.5MHz191913
7MHz10210341
14MHz232314
21MHz121
28MHz10105
TOTAL17217487

スコアは 174 × 87 = 15,138点。運用時間は5.79時間、平均30.2局/時間だった。
シングルオペ・マルチバンド部門、リグは FTDX-10 を50W、アンテナは 釣竿(Rod ANT)+ATU、30mh。ロガーは CTESTWIN。50MHzはアンテナを設置できず、今回はあっさり断念した。マンションのベランダ運用は、こういうところで潔さが求められる。









ポイント① 7MHzが完全に主戦場だった

172局のうち102局、実に6割が7MHzである。マルチも41と、全87マルチの半分近くをここで稼いだ。17時台から20時前まで、ほぼ7MHzに居座っていた計算になる。

国内コンテストの7MHzは、たとえるならお盆の高速道路だ。とにかく車(局)の数が多い。混んでいて呼び負けることもあるが、走っている限り必ず前に進む。短時間参加なら、悩まずここに時間を注ぐのが正解だと改めて思った。

ポイント② ハイバンドは「開いていなかった」ではなく「終わっていた」

スタートした15時台は28MHzがまだ少し開いていて、6局ほど拾えた。21MHzに至っては RC0CD の1局のみ。これがそのまま1マルチである。14MHzは23局と、それなりに国内が飛んでくれた。

8月中旬のこの時間帯、Eスポの残り香を拾いにいく感覚だった。閉店間際のスーパーの惣菜コーナーみたいなもので、あるにはあるが、選べるほどは残っていない。17時過ぎにもう一度28MHzを覗いて4局追加できたのは、望外の収穫だった。

ポイント③ ローバンドは「局数」より「マルチ効率」

1.9MHzは17局で13マルチ、3.5MHzは19局で13マルチ。局数こそ少ないが、呼んだ局のほとんどが新しいマルチになるのがローバンドの強みだ。7MHzのマルチ効率が4割程度なのに対し、1.9MHzは7割を超えている。

スタンプラリーでいえば、7MHzは人気スポットで行列に並ぶようなもの。対して1.9MHzは、人は少ないが行けば必ず未押印のスタンプがある穴場だ。20時台にローバンドへ降りたのは、時間配分としては正解だった。もう少し早く降りてもよかったかもしれない。

途中、XYLより買い物指令が下る

ログを見ると、15時56分から17時04分までぽっかり穴が空いている。これは電離層のせいではない。XYLからの買い物指示である。

14MHzで九州や北海道と楽しくやっていたところに「近所のスーパー、行ってきて」の一声。コンテスト中だから、とは言えないのが家庭内の電波法令というものだ。素直にヘッドホンを外し、近所のスーパーへ向かった。

そもそも今回の参加が土日を通して6時間ほどにとどまったのも、家事都合による。だが不思議なもので、時間が限られているとかえって集中する。「今日はこの時間だけ」と決めた運用は、ダラダラ24時間張り付くより濃いのかもしれない。買い物から帰ってきて再開した17時台からの2時間が、今回いちばん密度が高かった。








まとめ - 短時間参加のすすめ

50MHzは出られず、ハイバンドも細く、家庭の事情で細切れ。条件だけ並べれば散々だが、終わってみれば15,138点で、しっかり楽しめた。
DXではBH4HKZ(中国)とRC0CD(アジアロシア)に拾ってもらえたのも、50Wと釣竿アンテナにしては上出来だ。

コンテストは「フル参加できないなら出ない」と考えがちだが、そんなことはない。数時間でも出れば、ログにはその日の電離層と、その日の暮らしが残る。買い物に行った68分の空白も、いま見返せば立派な記録である。

次回は50MHzのアンテナをなんとかしたい。それが当面の宿題だ。

交信した各局、ありがとうございました。

73 de JI1ALP

2026年8月3日月曜日

2026 フィールドデーコンテスト参加記



JQ1ZPD/1 でクラブ松戸をPRする

2026年8月1日21時から2日15時まで開催されたJARLフィールドデーコンテストに参加した。今回は個人局ではなく、所属するクラブ局「クラブ松戸」JQ1ZPD/1 のコールサインで、松戸市内から電信電話部門オールバンドでの運用である。

結果は 357局 × 135マルチ = 48,195点。数字だけ見れば平凡だが、今回はスコアよりも「やりたかったこと」が三つあって、それがひと通り達成できたので満足度は高い。

1. 目的はクラブ松戸のPR

そもそも今回JQ1ZPD/1を担いだ最大の理由は、クラブ松戸の名前を電波に乗せることだ。

クラブ局のコールサインというのは、出さなければただの記号のままである。逆に、コンテストで一晩中呼ばれ続ければ、それだけで「JQ1ZPDって松戸のクラブか」と覚えてもらえる。ローカルのラグチューで100回宣伝するより、コンテストで357回コールサインを送出するほうが早い。看板は、掲げるより歩き回るほうが目立つのだ。

実際、呼んでくださった方から「ZPDは松戸ですか」と言われたことが何度かあった。狙いどおりで、これはうれしい。松戸市内、あるいは近隣で「クラブ松戸って何やってるの?」と思った方がいたら、それがこの記事の目的でもある。

2. スコアとバンド別の内訳

BandQSOsPtsMulti
1.9MHz12128
3.5MHz303016
7MHz323219
14MHz818128
21MHz171713
28MHz121210
50MHz535321
144MHz19199
430MHz90908
1200MHz11113
Total357357135

局数の柱は430MHz(90局)と14MHz(81局)。430はFMで一気に稼ぎ、14はCWでマルチを28まで伸ばした。フィールドデーらしくV/UHFが効くのは想定どおりだが、点数を押し上げたのはやはりHFローバンドとハイバンドのマルチである。

モード別では CW 240局・FM 82局・SSB 35局。全体の3分の2がCWという、いつもどおりの偏り方になった。私のデータから相手の電力記号を見ると、100W以下(M)が304局に対して10W以下(L)が25局、5W以下(P)が28局。移動運用の小電力局が全体の15%ほどいて、こういう局を確実に拾えるかどうかがフィールドデーの性格を表している。

3. 「しっかり寝る」という作戦

今回いちばん意識したのは、実は運用テクニックではなく生活のほうである

時間帯別のレートを見ると一目瞭然で、開始直後の21時台が58局と最も多く、22時台42局、23時台13局と落ちていく。0時台21局、1時台20局、2時台8局まで粘って、そこで店じまい。そして3時から7時まではログが真っ白である。寝ていた…zzzz

運用時間の実際
コンテスト時間18時間のうち、実際にリグの前にいたのは約13時間。それで357局だから、実質レートは約27局/時間。ソフトが表示する平均19.9局/時間より、体感はずっと忙しい。

8時台18局、9時台24局、10時台25局、11時台30局と午前中に立て直し、12時台はいったん10局に落ち込むが、これは昼食と家事の時間。そしてラストの13時台に68局と本日最高を叩き出して、14時台20局でフィニッシュ。終盤の追い込みができたのは、間違いなく寝ていたおかげだ、と考えようhi

徹夜で朝方にフラフラになりながら取りこぼすくらいなら、寝て、最後の2時間に全力を出したほうが得点は伸びる。マラソンで序盤に飛ばして後半歩くより、ペースを守って最後にスパートするほうが速いのと同じである。



4. 家事はしっかり(妻の指示)

そしてもう一つ。今回は家事もきちんとこなした。というより、こなすようにという指示が家庭内から出ていた。

正直なところ、これは制約ではなく助けになったと思っている。洗濯物を干しに行き、昼食の片付けをして、その間はリグから離れる。戻ってくると耳がリセットされていて、さっきまで取れなかった弱い信号が急に浮かんで聞こえる。12時台のレート低下は家事による中断だが、その直後の13時台が最高記録なのだから、休憩の効果としては上出来だ。

コンテストは18時間続くが、家庭生活はその後もずっと続く。長く趣味を続けるための運用設計として、これが正解だと思う。決してXYLが怖いからではない….

5. hQSLの利用率が明らかに増えている

今回強く感じたのが、hQSL(Turbo HAMLOGの電子QSL)を使う局の増加である。

コンテスト終了後、ログを整理していると電子QSLが次々と着信する。以前は一部の常連だけという印象だったが、今回はコンテストで呼んでくださった国内局のかなりの割合がhQSLユーザーだった。(約39%)

紙のQSLカードでJARLビューロー経由となると、届くのは半年後、下手をすると1年後だ。それがコンテストの当日か翌日に届く。ラーメン屋で言えば、注文から30分待つのが当たり前だった店に、券売機と自動調理器が入って3分で出てくるようになったような変化である。味(=交信の記録)は同じで、待ち時間だけが消えた。

もちろん紙のカードには紙の良さがある。ただ、コンテストのように大量交信が発生する場面では、電子QSLの相性の良さは圧倒的だ。この流れはもう戻らないだろう。

6. CTESTWINのトレーニングとして

最後に、これは個人的なテーマ。当局は普段、コンテストロガーにN1MM+を使うことが多い。しかし国内コンテスト、特にJARL系の各種ナンバーやマルチ判定に関しては、CTESTWINのほうが素直に扱えることが多く、クラブでの共同運用を考えても習熟しておきたかった。

そこで今回は、あえてCTESTWIN で18時間を通した。リグを接続し、バンドマップ、周波数リスト、県マルチ表示、ファンクションキーによるCW送出とボイスメモリまで一通り動かしてみた。

使ってみての印象を、N1MM+との比較で整理しておく。

観点CTESTWIN のメリットCTESTWIN のデメリット
国内コンテスト対応JARL系の規約・県マルチ・電力記号にそのまま対応。設定がほぼ不要海外コンテストの対応範囲はN1MM+に及ばない
操作性ウィンドウが軽く、動作が速い。低スペックPCでも安定画面が別ウィンドウに分かれ、配置は自分で整える必要がある
ログ提出JARL電子ログ形式をそのまま出力できるCabrilloまわりは用途によって一手間
情報量日本語の情報とユーザーが多く、困ったときに調べやすいSO2Rや高度なネットワーク運用はN1MM+が優位

結論として、国内コンテストはCTESTWIN、DXコンテストはN1MM+という使い分けが当局には合っていそうだ。今回18時間叩き込んだことで、キー操作はだいぶ身体に入った。次の国内コンテストでは迷わず使えるはずである。

まとめ

今回のフィールドデーで得たものを三つにまとめると、こうなる。

  1. クラブ松戸のPR ― コンテストを通じ多少のPR、認識をしてもらえた。
  2. 持続可能な運用スタイル ― 寝る、家事をする、制約はむしろ武器になる。
  3. CTESTWINの習熟 ― 国内コンテスト用ロガーとしての土台ができた。

呼んでくださった皆さん、ありがとうございました。QSLはhQSLでお送りします。

73 de JI1ALP (JQ1ZPD/1)

2026年7月26日日曜日

気になるRigウォッチXiegu G7250 まもなく登場か

最近、海外のアマチュア無線関連サイトの広告でやたら目に留まる機体があった。
Xieguの新型、G7250だ。思わず広告を何度もクリックしてしまった。
今日はこの気になる新顔について、調べたことをまとめておく。












画像:Radioddity より


結論から言うと

G7250はまだ「発表されたばかりのプレビュー機」で、価格も発売時期も未定。FT8についても本体単体でデコードできるような記載はなく、基本的にはPCと接続してWSJT-Xなどで運用するスタイルになりそうだ。とはいえ、分離型の筐体と100Wという出力は、当局の環境でも十分に魅力的だと感じた。

そもそもXieguというメーカーは

中国のアマチュア無線機メーカーで、コンパクトなSDR機を得意としている。ローカルが使っているG90(20W・据置?)、バッテリー内蔵で持ち運べるX6100/X6200、5WのQRP機G106などがラインナップの中心だ。価格の割に機能が詰まっている、という評判で人気を伸ばしてきたメーカーだと理解している。

Xiegu主要ラインナップ(参考)
・G90:20W、据置〜モービル向けの定番機
・X6100 / X6200:バッテリー内蔵、ポータブル運用向け
・G106:5W、軽量QRP機
・G7250:今回の新顔。100W級・分離型フラッグシップ

Xiegu-eu 

気になっていた3点を調べてみた

① 金額

結論、まだ正式な価格発表はないRadioddityやXiegu公式サイトでは「デポジット(予約金)を払って優先案内リストに登録する」という段階で、価格欄は空欄のままだった。いわば発表会の壇上に試作機だけが置かれていて、値札はまだ用意されていない状態だ。

② FT-8はRIGだけで使えるのか

ここが一番気になっていた点だが、本体単体でFT8をデコードできるという記載は見当たらなかった。動作モードには「SSB, CW, NFM, AM, DIG」とあり、DIGはデジタルモード用の入出力に対応しているという意味合いに近い。Xiegu X6100、X6200などはファームウェア改造することでRIG単体でFT-8の運用ができるようだ。(ようしらんけど...)

むしろ目立つのは、ネットワーク経由でベースバンド信号をストリーミングし、HDSDRなど外部のSDRソフトで処理できるという機能だ。

③ その他の特長
項目内容
出力HF:100W / 50MHz:90W
受信周波数0.5〜30MHz(HF)、50〜54MHz(6m)
方式直接RFサンプリング方式のSDR
筐体構造操作部(7インチタッチ+物理ボタン19個)と本体を分離、LANケーブルで最大100m離せる
アンテナチューナー内蔵、整合範囲20〜150Ω、初回10秒以内・メモリー呼び出し0.1秒以下
その他機能ボイスメモリ、CW自動送出メッセージ、スペクトラム&ウォーターフォール表示

分離型は、今までの「一体型カーナビ」から「画面だけ取り外して助手席に置けるタブレット型カーナビ」に進化したようなイメージだ。シャックが狭くても、本体だけ別室やクローゼットに逃がせるのは地味に大きい。国産だと、IC-7760が分離型。

導入するならどう使うか

もし当局が導入するとしたら、まず活きてくるのはコンテスト運用だと思う。100Wという出力は、アパマン固定運用において、パイルアップの奥まで電波を通せる可能性が高くなる。加えて分離型の構造は、シャック内の限られたスペースでも本体を機材棚の奥に押し込んで、操作パネルだけデスク上に置く、という配置がしやすい。

運用面では、FT8は素直にPC接続を前提に考えることになりそうだ。当局の環境ならUSB経由でJTDXと組み合わせるいつものスタイルがそのまま使えるはずなので、大きなハードルにはならないだろう。
むしろ気になるのは、ネットワークベースバンドストリーミング機能。これを使えば、離れた場所に置いた本体をリモートで動かす、という運用も視野に入ってくる。

ただし現時点ではまだプロトタイプ段階で、価格も発売時期も未定。正式発表が出るまでは、様子見が賢明だろう。続報が入り次第、またここで取り上げたい。

「畳とRIGとナントカは新しい方が好き」 de JI1ALP


2026年7月21日火曜日

2026年オール横浜コンテスト参加記

オール横浜コンテスト

7月20日、海の日に開催された第78回オール横浜コンテストに参加した。28MHz帯のみ、市外局として1時間59分の短期戦だ。今回は運用面でちょっとしたドタバタがあったので、そのあたりも含めて振り返ってみたい。

南ベランダのホイップが不調、急遽アンテナ変更

コンテスト用に設置した28MHzモービルホイップが開始直前にSWRの様子がおかしいことに気づいた。原因を追っている時間もなかったので、急遽北側ベランダのRODANTとATUの組み合わせに切り替えて参加することにした。

モービルホイップは「手軽に運用できる」のが利点だが、素子や給電部の接触不良にはやはり弱い。一方RODANTは、ATUさえかませば結構な帯域で追従してくれる。今回はこの「予備アンテナがちゃんと予備として機能した」ことが一番の収穫だったかもしれない。

移転してアンテナがビームからホイップに、横浜が遠くなった

当局は2022年まで住んでいた場所ではタワー+ビームアンテナで運用していた。指向性があるアンテナは狙った方向に電波を集中させられるので、同じ50Wでも相手に届く強さがまるで違う。ところが移転先のベランダ環境ではビームを上げるスペースが確保できず、今はホイップやRODANTといったアンテナでのアパマン運用が中心になっている。

結果として、以前なら苦もなく交信できていた横浜市内の局が、今回はずいぶん「遠く」に感じられた。距離としては変わっていないのに、アンテナが変わっただけで心理的な距離感まで変わってしまう。これはコンテストをやっていて改めて実感したことだ。

結果まとめ

項目結果
使用バンド28MHz
参加部門XM(市外電信電話)
交信数12局
得点17点
マルチ3(区コード 03・12・15)
総得点51点
使用機材FTDX-10 + RODANT/ATU(北側ベランダ)
出力50W(定格出力)

市外局同士の交信が中心になったため得点は1点交信が多かったが、(区コード03)と(区コード12)、(区コード15)の3局でマルチを稼げたのが今回のポイントだ。
ボーナス局のJA1YCSとは今回コンディションの巡り合わせもあって交信できなかった。
次回への宿題としたい。

次回に向けて

南ベランダのホイップは近いうちにコネクタ周りを点検するつもりだ。RODANT+ATUという組み合わせが「困ったときの相棒」として機能してくれたのは収穫だったが、やはりメインアンテナは万全な状態にしておきたい。ビームアンテナ、タワーなどの環境変化はすぐには埋められないが、アンテナ調整と運用の工夫でできることはまだありそうだ。

短時間コンテストながら、アンテナトラブルと移転後の環境変化を同時に実感できた良い機会だった。
次回はもう少しマルチを伸ばしたい。

73 de JI1ALP

2026年7月19日日曜日

電通大コンテスト2026 参戦記

7月18日開催の電通大コンテスト(オールバンド部門)に参戦してきたので、その様子をレポートしたい。

結論から言うと、75局と交信、マルチ47、得点203で、スコアは9,541点。運用時間はわずか3時間ながら、楽しめた内容であった。

今回のハイライト 3つ

  1. スタートはまさかの「イオンの宅配便対応」で30分以上遅刻 — コンテスト前の貴重な時間が水・お茶・米・トイレットペーパーの搬入作業で消えた話
  2. 使用機材はFTDX-10+ロッドアンテナ(HF)+モービルホイップ(50MHz)、出力50W — いつものお手軽組み合わせ
  3. 7MHzが主戦場、40局・96点・マルチ21 — 短時間コンテストではバンドの見極めが勝負を分ける

開始早々のアクシデント:イオンの宅配便には逆らえない

コンテストは17時開始だったのだが、私がキーを握った(実際はキーボードHi)17時37分。約35分の遅刻である。

理由はまさかのイオンネットスーパーの宅配便だ。水、お茶、米、トイレットペーパーといった重量級の日用品一式がちょうどコンテスト開始直前に到着し、「玄関先に放置するわけにもいかないから、納戸まで運んで」という指令が下った。こちらとしては「コンテストが始まるから後で!」と言いたいところなのだが、水の2Lケースと米袋を前にすると、そんな主張はあっさり却下される。優先順位は明白、コンテスト・電波法令より先に「搬入作業」である。

というわけで、開始と同時にリグの電源を入れる予定が、気づけば水のケースを抱えて納戸との往復を繰り返すという、なんとも締まらないスタートになった。とはいえ、コンテストは逃げない。荷物を運び終えて腹をくくり、17時37分、21MHzからの1局目で仕切り直しである。

今回の装備

シャックの布陣は以下の通り、いつも通りのお手軽スタイルだ。

  • 無線機:FTDX-10
  • HFアンテナ:5mロッドアンテナ+ATU(SG-230 オートアンテナチューナー)
  • 50MHzアンテナ:モービルホイップ
  • 出力:50W
  • ロギング:CTESTWIN

タワーもビームもない、集合住宅住まいのお手本のような設備だが、ロッドアンテナとATUの組み合わせは伊達ではない。1.9MHzから28MHzまで、6バンドすべてに顔を出せたのがその証拠だ。
残念ながらロケーションの良い北側ベランダは洗濯物で利用できず、建物の影響が大きく飛びの悪い北側ベランダへのアンテナ設置となった。



バンド別の結果

バンドQSO数得点マルチ数
1.9MHz6156
3.5MHz144710
7MHz409621
14MHz6135
21MHz121
28MHz151
50MHz7253
合計7520347

スコアは203(得点)×47(マルチ)=9,541点。見ての通り7MHzが主戦場で、QSO数・得点・マルチのすべてで最大の稼ぎ頭になった。夕方から夜にかけての時間帯とバンドコンディションがうまく噛み合った印象だ。一方、21MHzと28MHzは各1局のみ。短時間コンテストゆえ、コンディションが開けていないバンドに長居する余裕はない、という判断である。

QSOレートで振り返る3時間

運用時間は17時台・18時台・19時台の3時間。QSOレートグラフを見ると、17時台は遅刻の影響で11局にとどまったが、18時台に一気にペースを上げて約29局、19時台も29局とハイペースを維持できた。トータル75局、平均すると1時間あたり25.1局のペースだ。出遅れを取り戻そうと、まずはCQランニングよりも呼びまわり、無我夢中でキーボードを叩いていた時間帯である。


まとめ

今回の電通大コンテストは、開始直後の「イオンの宅配便対応」という不可抗力に見舞われながらも、最終的には9,541点という結果に着地できた。ロッドアンテナ+50Wというシンプルな設備でも、バンドの見極めと集中運用で十分戦えることを改めて実感した回だった。
交信出来たUEC関係局は14局。約19%の局からUECをもらった。関係者の熱意には頭が下がるコンテストであった。

次回は開始前にネットスーパーの配達時間を確認してから電源を入れたいところである。
CU in Next TEST  de JI1ALP

2026年7月17日金曜日

弟の死から学ぶ、糖尿病という「静かな病」

私事だが、今回はどうしても書いておきたいことがある。

7月15日、弟が心筋梗塞で急逝した。61歳だった。糖尿病を患ったのは20年前。そして3年前から腎不全が進み、人工透析を続けていた。20年という時間、糖尿病と付き合ってきた末の結末だった。突然のことで、正直まだ気持ちの整理がついていない部分もある。だが、この経験を自分の中だけに留めず、同世代のHAM仲間にも伝えるべきだと思い、筆を執ることにした。

結論から言おう。糖尿病は「血糖値がちょっと高いだけ」の病気ではない。何年もかけて全身の血管を静かに傷めつけ、ある日突然、心筋梗塞や脳卒中という形で牙をむく病気だ。そして、その予防と早期発見は、決して難しいことではない。今日からできることばかりだ。

今回お伝えしたい3つのポイント

  1. 糖尿病の本当の怖さは「三大合併症」と「動脈硬化性疾患」にある
  2. 自覚症状が出る前の定期検査が命を守る
  3. 食事・運動・禁煙・血圧管理という「当たり前」の継続が最大の予防策

糖尿病が本当に怖い理由 ― 「サビ」のイメージで考える

糖尿病を、水道管の内側にじわじわサビが溜まっていく現象に例えるとわかりやすい。蛇口をひねれば普段どおり水は出る。つまり自覚症状はほとんどない。しかし管の内側では、高血糖の状態が何年も続くことで、血管が少しずつ傷ついていく。そしてある日、サビが限界に達した場所で、管が完全に詰まる。それが心筋梗塞であり、脳卒中であり、弟の場合は腎不全だった。

弟は20年にわたる糖尿病の末に腎不全へと進行し、3年前から人工透析を続けていた。そして61歳、心筋梗塞で命を落とした。これはすべて、一本の糸でつながった「血管の病気」の結果だ。

代表的な合併症一覧

分類疾患名特徴
三大合併症(細い血管)糖尿病網膜症進行すると失明のリスク
三大合併症(細い血管)糖尿病腎症進行すると人工透析が必要に
三大合併症(細い血管)糖尿病神経障害手足のしびれ、感覚低下
動脈硬化性疾患(太い血管)心筋梗塞自覚症状なく突然発症することも
動脈硬化性疾患(太い血管)脳卒中後遺症のリスクが高い
動脈硬化性疾患(太い血管)末梢動脈疾患足の血流障害、壊疽のリスク

ここで重要なのは、細い血管の合併症(網膜症・腎症・神経障害)が進んでいる人ほど、太い血管の合併症(心筋梗塞・脳卒中)のリスクも高いという事実だ。弟のように透析まで進んでいたケースは、心血管疾患のハイリスク群だったと言える。

予防の柱 ― 難しいことではない

①定期検査
健康診断でのHbA1c(過去1〜2ヶ月の平均血糖値を示す指標)と空腹時血糖値のチェックが最も基本。自覚症状が出た時にはすでに合併症が進んでいることが多い。年1回は必ず受ける。
②食事
白米・パン・麺類などの糖質の摂りすぎを避け、野菜から先に食べる「ベジファースト」を意識する。腹八分目。
③運動
ウォーキングなどの有酸素運動を週150分程度。運動は血糖値を下げるだけでなく、血管そのものをしなやかに保つ効果がある。
④禁煙・血圧管理
喫煙は血管を直接傷める。高血圧の放置も動脈硬化を加速させる。糖尿病単独よりも、これらが重なった時の方が心筋梗塞のリスクは格段に上がる。

私自身のこと

私は今のところ糖尿病ではない。ただ、家族・親戚を見渡すと遺伝かと思うくらい、糖尿病を患っている者が多く、決して他人事ではないと感じている。弟の死をきっかけに、私自身も定期検査を継続し、食事と運動を見直していくつもりだ。

HAM仲間へ

コンテストやアイーボールミーティングで顔を合わせる仲間には、私と同世代、あるいはそれ以上の方も多い。無線機の前に座っている時間が長い趣味だからこそ、運動不足になりがちだし、健康診断を後回しにしてしまう人もいるかもしれない。

弟の死を無駄にしたくない。この記事が、誰か一人でも「今年は健康診断に行ってみようか」と思うきっかけになれば、弟もきっと喜んでくれると思う。

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