SGC SG-230 ——「給電点」に置くだけで化ける、泣く子も黙るリモートチューナー
先日のALL JA8コンテストでも、私はいつも通り釣り竿アンテナ+SG-230の組み合わせでベランダから電波を出していた。50Wの出力で交信が楽しめたのも、正直SG-230の働きが大きい。今日はこの「黒くて重い箱」について、じっくり語ってみようと思う。
■ SG-230とは何者か
米SGC社が世に送り出したSG-230は、HF帯全域をカバーする防水型のリモート・アンテナ・オートチューナーである。本体・オプションの製造は終了し、新品を販売するSHOPは限られているが、中古は割と流通している。
軍用・船舶用としても採用されてきた実績があり、アマチュア無線家の間でも「ゴールドスタンダード」と呼ばれ続けていた一台だ。まずは主要スペックを整理しておこう。
| 項目 | 仕様 |
|---|---|
| 周波数範囲 | 1.6MHz〜30.0MHz |
| 最大入力電力 | 200W(PEP) / 80W(連続CW) |
| 最小入力電力 | 3W(チューニング時は10W推奨) |
| 整合VSWR | 通常2.0:1以下 |
| チューニング時間 | 初回2秒以内/メモリ呼出10ミリ秒以内 |
| メモリ容量 | 170〜500個(製造時期による) |
| 所要アンテナ長 | 3.3MHz以上で約2.4m以上 |
| 電源 | DC13.8V(10〜18V)/最大約0.9A |
| 重量・寸法 | 約3.5kg/406×300×86mm |
数字だけ見ても実感が湧かないと思うので、ここからは「なぜよく飛ぶのか」を私なりに噛み砕いてみる。
■ SG-230を使いこなす三カ条
SG-230の実力を引き出す方法は、突き詰めると次の3つに集約されると私は考えている。
① アンテナの根元(給電点)に置く
シャックの中にチューナーを置いて同軸ケーブルの先にアンテナをつなぐのではなく、アンテナの根元にSG-230そのものを設置するのが鉄則だ。たとえるなら、水道の蛇口から遠く離れた場所でホースの太さを調整するより、蛇口の真下で調整したほうが水漏れ(=損失)が少ないのと同じ理屈である。同軸内での反射損失をほぼゼロにできるので、ベランダから垂らした一本のワイヤーでも、フルサイズのダイポールに近い飛びを得られる。
② アース(カウンターポイズ)を侮らない
SG-230は「片肺」のチューナーだ。エレメントと同じくらい、強力なアースが性能を左右する。幸い、ベランダの手すりが良いアースとなっており、複数のワイヤーをカウンターポイズとして併用している。ここをケチると、せっかくの好条件も宝の持ち腐れになる。
③ インターフェース不要という自由度
最近のオートチューナーはリグ専用のインターフェースを必要とするものが多いが、SG-230はそれが要らない。古い真空管リグでも最新のSDRでも、SSBで一声出すか、CWでトーンを送るだけで整合が完了する。複数のリグを使い分ける身としては、この汎用性がありがたい。
■ 中古品を検討するなら、ここを見てほしい
SG-230は息の長い製品だけに、中古市場でもよく見かける。もし導入を考えているなら、基板の年代差を確認しておくと安心だ。
| タイプ | メリット | デメリット |
|---|---|---|
| 初期型(赤色LED7連) | とにかく頑丈。長年の実績で信頼性が高い | メモリ数が少なめ |
| 後期型(5連LED) | メモリ数が増え、CPUも新しい | 流通量がやや少なく、相場が高め |
また、SG-230は箱を持つとずっしり重いと感じるはずだが、これは内部のコイルが太くQ(クオリティファクタ)が高いことの裏返しでもある。重さは無駄ではなく、飛びの良さそのものなのだ。
スペック保証外であるが、6mのグラスファイバーロッドで1.8/1.9MHzも当局の環境で同調している。
■ まとめ——リグの裏側から、外の世界へ
最近のオートチューナーはリグと一体化して便利になった反面、本当の意味でアンテナの可能性を引き出せているかというと、私は少し疑問に思うことがある。SG-230は同軸一本と電源さえあれば、目の前の鉄柵だろうと、庭の木に投げた一本のワイヤーだろうと、黙々と整合させてしまう。ノイズの多い都市部で「ステルス・アンテナ」を余儀なくされている方にこそ、この給電点に置いたオートアンテナチューナーの威力を試してほしい。
「飛ばない、聞こえない」と嘆く前に、一度チューナーをリグの裏側から外に解放してみてはどうだろうか。「KW+ビームアンテナ」からアパマンベランダアンテナになった私が自信を持って推す「上がり」の周辺機器の一つである。
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