2026年8月22日土曜日

World Radio League ---クラウド時代のログブック

World Radio League(WRL)というサービスについてまとめておく。

「移動先で、スマホだけでログが完結したらどんなに楽か」

ノートPCを開いて、Turbo HAMLOGやCTESTWINを立ち上げて、帰宅してからデスクトップPCでハムログに読ませる。この一連の儀式が、移動運用先ではやたらと重い。そんなことを考えていたところに海外のサイトを眺めていて目に入ったのが、World Radio League(WRL)というサービスだ。当局はまだ本格運用していないが、調べてみたら思いのほか面白かったので、ここにまとめておく。










World Radio League のTOP画面










World Radio League のTOP画面 を Google Chrome で
日本語に翻訳した画面


結論

国内のQSL運用が中心ならTurbo HAMLOG、移動運用とデータの持ち歩きが中心ならWRL。どちらが優れているという話ではなく、土俵が違う。現実的な答えは併用で、スマホのWRLで現地入力 → ADIFで書き出し → ハムログへ取り込みという流れが一番ムダがないと考えている。
※Turbo HAMLOG は直接ADIFを取り込めないので、変換ソフトが必要。

World Radio League とは何者か

米国のライセンス学習サイト Ham Radio Prep と同じ会社が運営する、Webベースのログブックサービスである。2023年8月に「ソフトのセットアップなしで、初心者が最初のQSOを記録できる場所」として始まり、そこからPOTA対応、ライブスコアリング付きのコンテスト機能へと広がってきた。2026年のWRTC(世界選手権)では公式ライブスコアボードも担当している。

アカウントは無料。Webブラウザ、iOS、Android、デスクトップアプリが用意されている。

特長その1 ― 端末をまたいで自動で同期する

WRLの本質はここに尽きる。スマホで入力したQSOが、そのままWeb側のログブックに反映される。しかも完全にオフラインで動く。山の中でも公園でも、電波が届かない場所でアクティベーションを最初から最後まで記録して、圏内に戻った瞬間にサーバへ上がる。

紙のノートではなく、Googleドキュメントに書いているようなものだと思えばいい。どの端末で開いても同じものが見える。ログのバックアップを意識しなくていいというのは、思っている以上に精神衛生に良い。




スマホ版(iPhone)の World Radio League 

特長その2 ― POTAとコンテストの作り込みが実戦的

パークリファレンスの入力、POTAネットワークへのオートスポット、ロガーからの再スポット。ADIFの入出力。そしてライブスコアリング付きのコンテスト機能。

細かいところでは、同一バンド内の周波数変更なら末尾だけ打てばいい。14.256MHzに移りたければ「.256」と入力してDone。片手でスマホを持ったまま操作することを、ちゃんと想定して作られている。この手の配慮がある道具は、たいてい作者が実際に運用している。









POTAのMap 他にも IOTA  SOTA などの画面あり

特長その3 ― ログが「見せられる」

他局の最新QSOがリアルタイムで流れるフィード、世界地図表示、モード別のリーダーボード。用途ごとに複数のログブック(自宅・クラブ局・POTA・SOTA)を持てて、QSOごとに電子QSLカードが自動生成される。

ログがSNSのタイムラインになった、という感じだ。「記録する」道具から「見せる・競う」道具へと軸足を移している。この発想は、日本のログソフトにはあまりない。








「Map View」QSOした直近50局の位置をMapで表示させた画像

Turbo HAMLOG との比較

観点Turbo HAMLOGWorld Radio League
動作環境 Windows専用(7/8/10/11)。ローカル完結で軽い
× Mac・スマホ不可。PCの前に座る必要がある
Web+iOS/Android+デスクトップ。オフライン入力+自動同期
× ネット前提の設計。サービス終了リスクは常にある
日本向け機能 ユーザーリストGet's、免許状Get's、JCC/JCG対応、JARL非会員あてQSL印刷の抑制、QRコード印刷
× 海外アワード管理は弱め
世界地図・グローバルな集計
× JCC/JCG、JARL会員照会、QSL転送の概念なし。UIは英語のみ
QSLカード 紙QSLの印刷が圧倒的に強い。テンプレートの自由度が高い
× 設定が独特で、最初はとっつきにくい
QSOごとに電子QSLカードを自動生成
× JARL転送用の紙印刷は不得手
移動運用・POTA 別ソフトか手入力が必要
× 現地でPCを開く前提
パーク番号入力、オートスポット、再スポットまでアプリ内で完結
× SOTAやJAFF系の作り込みは発展途上
コンテスト × 本格運用にはCTESTWINやzLogが別途必要 ライブスコアリング付き。WRTC2026の公式スコアボードも担当
× 国内コンテストのルールには非対応
継続性・情報量 2026年1月にVer5.47cが出るなど更新が続く。日本語の解説書も掲示板も豊富
× ソースコードは非公開。作者個人に依存する構造
開発が活発で、UIが現代的
× 米国のスタートアップ運営。日本語の情報がほぼない
費用 フリーソフト 無料アカウントで主要機能が使える
押さえどころ
① 土俵が違う。ハムログは「業務日誌+QSL製造機」、WRLは「持ち歩けるログ+見せるSNS」。カーナビとスマホの地図アプリの関係に近い。
② 日本のQSLビューロー文化はハムログの独壇場。JARL会員かどうかを判定して印刷を出し分ける、そんな機能が海外製に載ることはまずない。
③ WRLの本命はスマホ完結。自宅シャックでリグ制御と一緒に回すなら、出番は少ない。

当局ならどう使うか

正直に言えば、メインログをWRLに移すつもりはない。国内交信のQSLをどう捌くかという一点だけでも、ハムログを手放す理由がない。hQSLの利用率は体感でも確実に増えていて、そこはハムログの生態系そのものだ。

ただし、移動運用の一次入力としては十分に試す価値がある。アンテナを立てて、スマホでログを取り、帰宅したらADIFで吸い上げる。PCを持ち出さずに済むなら、荷物がリュックひとつ軽くなる。これはジジイ(失礼!OM)の身体には無視できない差だ。

まずは自宅で数千局ぶん入力して、ADIFの往復でデータが壊れないかを確認するところから始めたい。ログの移行というのは、コールサインの大文字小文字やモード名の表記ゆれで案外あっさり事故る。慎重にやる。

試してみたら、また報告する。

World Radio League

73 de JI1ALP

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