2026年8月23日日曜日

大腸がん 〜増えている理由と予防〜

大腸がんは今や日本人にとって非常に身近な病気であり、年間15万人以上が新たに診断されている。その背景には「高齢化」だけでなく、食生活の変化や運動不足といった生活習慣が大きく関わっている。

予防のカギは、
①野菜をしっかり摂る、
②赤身肉・加工肉を摂りすぎない、
③適度に体を動かす、
④定期的にがん検診を受けること。
今日からの小さな積み重ねで、リスクはぐっと下げられる。

ポイント①:大腸がんは、実はとても身近な病気

2023年、日本で新たに大腸がん(結腸がん・直腸がんの合計)と診断された人は、年間約15万4,000人(男性約8万5,000人、女性約6万9,000人)にのぼる(国立がん研究センター「がん統計」)。

これは1日あたりに換算すると、400人以上が毎日新たに大腸がんと診断されている計算になる。学校のクラス(1クラス30〜40人)で例えるなら、毎日どこかの町で10クラス分以上の人が新しく診断されているようなイメージだ。

がんの罹患率(かかりやすさ)は男女とも第2位、がんによる死亡率で見ると男性は第2位、女性は第1位という、女性にとって特に注意が必要ながんでもある。

ポイント②:なぜ大腸がんは増えているのか

大腸がんは年齢とともに増えるがんなので、高齢化が進んだこと自体も患者数増加の一因である。ただし、年齢構成の違いを取り除いて比較する「年齢調整罹患率」で見ても、1985年と比べて現在の方が高くなっており、高齢化だけでは説明できない要因があることが分かっている。

大きな要因とされているのが、食生活と生活習慣の変化だ。

  • 脂肪の多い食事や、肉を中心とした食事の機会が増えた(特にソーセージ・ハム・ベーコンなどの加工肉や赤身肉の摂取は、大腸がんとの関連が指摘されている)
  • 仕事や生活が便利になり、日常的に体を動かす機会が減った(運動不足・肥満の増加)
  • 野菜や果物、発酵食品の摂取量が減り、食物繊維の摂取量が落ちている

実際、1日あたりの食物繊維摂取量は、約20年前は男性19.2g・女性17.6gだったのに対し、2023年では男性15.0g・女性13.6gまで減少しており、全体で約20〜25%も少なくなっている。

食物繊維は「便通をよくするもの」というイメージが強いが、それだけではない。食物繊維は小腸では消化されずに大腸まで届き、そこにいる腸内細菌のエサになる。中学校の理科で習う「分解者」のように、腸内細菌が食物繊維を分解して腸内環境を整えてくれるのだ。逆に食物繊維が不足すると、善玉菌が減って悪玉菌が増えやすくなり、腸内で炎症が起きやすくなることで、大腸がんのリスクが高まると考えられている。

たとえるなら、食物繊維は腸の中の「お掃除係であり、良い菌のごはん」でもあるということ。掃除もごはんも足りない部屋(=腸)は、荒れやすくなってしまう、というイメージだ。

ポイント③:今日からできる、大腸がんの予防

1. 野菜を積極的に摂る

厚生労働省が推奨する野菜摂取の目標は、1日350g以上。一度に摂る必要はなく、朝・昼・晩の食事に少しずつ取り入れて、1日の合計で目指すのがポイントだ。

食物繊維が比較的多く含まれる野菜の例は以下の通りだ。

野菜 食物繊維の目安(100gあたり)
ごぼう 約5.7g
ブロッコリー やや多め
さつまいも やや多め
かぼちゃ やや多め
キャベツ・ほうれん草 日常的に取り入れやすい

秋にかけては、ごぼう・さつまいも・かぼちゃ・にんじん・大根など食物繊維が豊富な野菜が旬を迎える。旬の野菜は味がよいだけでなく栄養価も高く、手に入りやすいというメリットもある。

2. 赤身肉・加工肉の摂取を控えめに

赤身肉は1週間あたり500gを超えないことが一つの目安とされている。特にハム・ソーセージ・ベーコンなどの加工肉は、摂取を控えめにすることが勧められている。とはいえ肉を完全に断つ必要はなく、魚や豆類も取り入れながらバランスよく食べることが大切だ。

3. 適度に体を動かす

運動習慣は大腸がんのリスクを下げるだけでなく、腸の動きを活発にして便通の改善にもつながる。激しい運動でなくても、ウォーキングなど日常生活の中で無理なく続けられるものから始めれば十分だ。

4. 定期的にがん検診を受ける

大腸がんは、早期に発見できれば治療できる可能性が高いがんだ。だからこそ、症状がなくても定期的な検診で早期発見することが重要になる。

まとめ

大腸がんは決して他人事ではなく、生活習慣を見直すことで予防につなげられる病気だ。まずは今日の食事に野菜料理をもう1品増やすところから、無理なく始めてみてはどうだろうか。

健康管理士一般指導員(
健康管理能力検定1級) JI1ALP 深井


※本記事は、日本成人病予防協会の「大腸がん」の解説記事および、統計数値は国立がん研究センター「がん統計」の公表データを確認のうえ掲載している。

参考・出典
国立がん研究センター がん情報サービス「大腸:がん統計」https://ganjoho.jp/reg_stat/statistics/stat/cancer/67_colorectal.html
日本生活習慣病予防協会「がんの部位別罹患率では、男女とも第2位が大腸がん」https://seikatsusyukanbyo.com/statistics/2024/010805.php

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